東京オフィスビル市場、回復傾向が続く!空室率低下、賃料上昇も一部で顕著に
三菱地所リアルエステートサービス株式会社が発表した2024年6月末時点の東京主要7区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、品川区、江東区)の大規模オフィスビルにおける空室率・平均募集賃料調査結果によると、オフィスビル市場は回復傾向にあることが明らかになりました。
空室率は回復傾向、港区・新宿区で顕著な改善
主要7区全体の空室率は、前月比で0.32ポイント低下し、5.43%となりました。エリア別に見ると、港区と新宿区で前月比0.5ポイント以上の改善が見られ、特に港区では複数の物件で空室が解消されたことが大きな要因となっています。新宿区では、1,000坪以上の大型フロアの空室解消が影響しています。一方、千代田区、中央区、品川区、江東区は横ばいの状況です。
賃料は上昇傾向、渋谷区で顕著な上昇
平均募集賃料は、前月比で69円/坪下落し、27,826円/坪となりました。エリア別では、千代田区と渋谷区で上昇が見られました。特に渋谷区は、前月比で1,569円/坪の上昇となっています。これは、20,000円/坪台の物件の募集が終了し、40,000円/坪~50,000円/坪程度の高額物件の募集が開始されたことが影響しています。中央区、港区、新宿区、品川区、江東区は横ばいの状況です。
オフィス移転ニーズは増加傾向、効率化・集約ニーズも上昇
三菱地所リアルエステートサービスが実施した「企業の不動産ニーズに関するアンケート」によると、直近1年以内にオフィス移転を行った、または現在検討中の企業は全体の29.4%と、前回調査から5.0ポイント上昇しました。オフィス移転検討・実施の理由は、「人員増・事業拡大」が最も多く、次いで「オフィス環境改善」となっています。注目すべきは、「業務効率化・生産性向上」と「集約・統合」の割合が上昇している点です。これは、企業がオフィススペースの効率化やコスト削減を意識していることを示唆しています。
東京オフィス市場の今後の見通し
東京のオフィスビル市場は、今後も回復傾向が続くと予想されます。特に、港区・新宿区などの主要エリアでは、空室率のさらなる低下が見込まれます。また、賃料の上昇も一部エリアで継続すると予想されます。一方で、企業のオフィススペースに対するニーズは多様化しており、効率化・集約を重視する動きも強まっています。今後も、オフィスビルの供給や賃料動向、企業のニーズ変化などに注目していく必要があります。
※本記事は、三菱地所リアルエステートサービス株式会社が発表した調査結果に基づいて作成されています。