U-Factor®液を用いた共同研究の開始
2024年7月22日、株式会社U-Factorは東京慈恵会医科大学と共同研究契約を締結しました。この研究は、難治性の神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病に対する治療薬の開発を目指しています。U-Factorが独自に開発した「U-Factor®液」を使用し、これらの疾患における治療効果を検証することが主な目的です。
研究の背景
株式会社U-Factorは、2020年から自社開発したU-Factor®液を用いて、様々な外部研究機関と共同研究を推進してきました。これまで、国立研究開発法人産業総合技術研究所や慶應義塾大学医学部といった機関と提携し、2024年からは東京女子医科大学との研究も開始しています。新たに東京慈恵会医科大学との協力を得て、ALSとパーキンソン病の治療に向けた研究が始まることとなりました。
ALSとは
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は運動ニューロンが選択的に損傷を受け、進行性に筋力低下を引き起こす神経変性疾患です。年間の有病率は約6人/10万人とされており、筋力の衰えが進むにつれて、最終的には呼吸筋を含む全身の筋肉が麻痺してしまいます。現状では確立された治療法が少なく、病気の進行を遅らせることに特化した薬剤がわずかに存在しています。根治的な治療薬の開発が急務とされています。
パーキンソン病について
一方のパーキンソン病は、主にドーパミンを分泌する中脳の神経細胞が減少することで運動機能に障害が起こる疾患です。特に65歳以上の高齢者に多く見られ、約1%の有病率があります。典型的な症状には手足の震え、筋肉のこわばり、そして動作が遅れるなどがありますが、症状を完全に止める治療法は今のところ見つかっていません。したがって、新しい治療法の開発が強く求められています。
共同研究の目的
本共同研究では、U-Factor®液の患者への適応や有効性をデータとして収集し、ALSおよびパーキンソン病に対する新たな治療法の可能性を開くことを目指しています。この研究が進化すれば、解決策の見出せなかったこれらの難治性疾患に対する治療薬が開発されるかもしれません。
U-Factor®液の特性
U-Factor®液は、幹細胞の培養過程で得られた上澄み液を独自の技術で精製したものです。この液体には、幹細胞から分泌された多くのサイトカインが含まれており、これらの成分が生理活性作用をもたらすとされています。名古屋大学大学院医学系研究科の名誉教授である上田実氏が、その有効性を2015年に発表しました。U-Factor®液は特に安全性と有効性に優れた潜在能力を秘めているとされています。
企業情報
株式会社U-Factor
- - 設立:2020年3月
- - 代表者:井島英博
- - 所在地:東京都千代田区
- - Webサイト:U-Factor公式
- - 事業内容:難治性疾患の治療薬の製剤化を目指す。
東京慈恵会医科大学
U-Factorと東京慈恵会医科大学の共同研究契約は、革新的な治療法を切り開く一歩として期待されています。今後の研究の進展に注目が集まります。