ロジスティクスの新たな動き:レンタルパレットの急増
日本の物流業界は、2024年に向けて新たな課題に直面しています。トラックドライバーの人手不足が問題視される中、日本パレットレンタル株式会社(JPR)は、前年比5.8%増の5309万枚というレンタルパレットの供給数を記録しました。
2024年問題の背景
「物流2024年問題」と呼ばれるこの状況では、企業は自社製品の安定した輸送を確保するための手段を模索しています。政府も、ドライバーの負担を減らすために法律を強化し、企業に対して手荷役の軽減を促しています。これに伴い、運送会社が荷主を選別する傾向が強くなり、多くの企業が効率的な輸送方法としてレンタルパレットを導入し始めています。
レンタルパレットとは?
レンタルパレットは、製品の輸送に用いるパレットの貸出サービスです。JPRは、標準規格のパレットを保有し、全国に配置されたパレットデポからの供給を行っています。これにより、多くの企業がパレットを共同利用することができ、効率的な輸送を実現しています。
パレット輸送のメリット
レンタルパレットの利用によって、手荷役での積み込み時間を大幅に短縮できるというメリットがあります。従来、手荷役で積み込む場合には1.5時間から2時間を要しましたが、フォークリフトを使うことで約1/4の時間、すなわち30分から40分に短縮されます。この時間の短縮は、トラックドライバーにとっての肉体的負担を軽減し、企業にはより多くの車両を確保することを可能にします。
共同回収システムの導入
JPRは「共同回収システム」を展開し始めました。このシステムでは、利用企業自身が空パレットを回収するのではなく、物流センターからJPRがまとめて回収します。この仕組みにより、企業はパレットの管理にかかる手間を省き、さらに効率的な物流が可能となります。
共同回収拠点の拡充
2024年度に入り、JPRは共同回収拠点の数を3000カ所以上に増加させました。これは卸売業や小売業を中心に、さまざまな業種へ展開しており、ECサイトやドラッグストア、冷凍食品の物流センター、青果卸売市場などが新規登録されています。このような拠点の増加は、物流の効率化に直結しています。
供給体制の強化
レンタルパレットの需要に応じて、JPRは供給体制の強化を進めています。九州地域の物流を効率化するために福岡古賀デポを新設し、東北地域では仙台デポの増床を行いました。これにより地域間での空パレットの回送が削減され、コストの削減にもつながります。さらに、無人フォークリフトによる作業の自動化が進められ、効率的な物流が実現しています。
結論
JPRのレンタルパレットサービスの導入は、トラックドライバーの負担軽減、コスト削減、輸送の効率化を実現する重要な役割を果たしています。これからの物流業界において、パレット輸送はますます重要性を増していくことでしょう。その背景には、厳しい物流環境があることを忘れてはなりません。新たな物流手法としてのレンタルパレットの利用は、今後も拡大していくことが予想されます。