株式会社ひろぎんホールディングスが進める生成AI活用
株式会社ひろぎんホールディングスは、業務の効率化を目指し、生成AIを取り入れた新たな取り組みを進めています。
このプロジェクトでは、子会社である広島銀行における融資業務の稟議書作成機能を内製し、全営業店に導入しました。さらに、個人のお客様への提案の質を向上させるための概念実証も実施し、その有効性を確認しました。
生成AI活用のロードマップ
ひろぎんホールディングスでは、生成AIの活用を段階的に進めていく計画があります。2024年4月にはMicrosoft Azure環境上に、グループ専用の生成AI「AI Assistant」を構築し、既にグループ内での利用が開始しています。現在は、ステージ2として業務システムとの連携を目指し、「無意識に生成AIを利用する業務フローの構築」に取り組んでいます。
将来的には、AIエージェントを活用するステージ3にたどり着くことを目指しており、業務効率化や価値創造を最大化するとともに、顧客期待に応える柔軟なサービス提供を実現しようとしています。これを通じて、金融以外の分野にも幅を広げた「総合力」を持つソリューションの提供に努めていく意向です。
具体的な業務アプリ化の取り組み
融資稟議書作成の効率化
融資業務においては、生成AIを利用した稟議書作成機能が内製され、全営業店で導入されました。この機能では、顧客の企業情報や営業行員の折衝記録に基づき、稟議書の一部(申込経緯や資金使途など)のドラフトを自動的に生成します。これにより、行員は送信前の内容を確認して修正するだけで済み、稟議書作成にかかる時間を大幅に短縮できます。
実績としては、年間約5,200時間の業務削減効果が見込まれており、特に若手行員の業務負担を軽減することで、地域顧客の多様なニーズに向き合う時間を作ることが可能になります。また、AIが作成したドラフトを通じて、書き方を学ぶことで行員のスキルアップにも寄与するでしょう。
個人のお客様向けの面談準備の効率化
また、個人向けの面談準備においても生成AIを活用した概念実証が行われ、その有効性が確認されました。従来、面談準備では複数の行内システムから情報を集約する必要があり、時間がかかっていましたが、生成AIを使用することで、情報を整理し、提案や会話内容を簡単にまとめることができるようになります。
この取り組みにより、面談準備の時間が7割削減できる見込みであり、内製によるさらなる開発が進められています。効率化と提案の質向上が実現されれば、顧客に向き合う時間が増え、一人ひとりのニーズに対してより深く寄り添ったサービスの提供が期待されます。
運用開始時期
これらの新しい取り組みの運用開始時期は、融資稟議書作成の効率化について2025年9月29日、個人のお客様への面談準備効率化については2026年2月からとなる予定です。ひろぎんホールディングスは、生成AIを効果的に活用し、顧客サービスの質向上を図りつつ、効率的な業務運営を目指してまいります。