日本の食を救う未利用魚の取り組み
2024年8月20日、東京都に本拠を置くブルーフォーラムが、エー・ピーホールディングス及び紀文産業と手を組み、未利用魚を活用した商品の開発を開始しました。このプロジェクトでは、クラウドファンディングサービス「マクアケ」を利用して資金を募り、プロジェクトの実現を目指しています。
食料自給率の現状と課題
日本の食料自給率はカロリーベースで約38%と、先進国の中では最低水準となっています。国内の第一次産業、特に漁業に従事する人々は年々減少しており、食の生産力は低下しています。このままでは、我々の食卓に新鮮な魚類が届かなくなってしまう恐れがあります。
この状況を打破すべく、ブルーフォーラムは、日本漁業を支える有志団体の一つ、さらには未利用魚を利用した商品開発に力を入れています。
未利用魚とは?
現在、日本では3000種類以上の魚が漁獲されていますが、消費者の口に届くのはほんの一部です。未利用魚とは、流通や販売の過程で選ばれず廃棄されてしまう魚のことを指し、年間100万トン以上も無駄にされています。
こうした未利用魚を活用することで、漁業者の収益向上を図り、食料自給率の改善にも寄与できるとされています。
商品開発の具体例
今回の取り組みで注目されるのは、北海道標津町の漁師とともに開発されている未利用魚の一種、カジカを使用した加工商品の開発です。カジカは食用部位が少なく、これまであまり利用されてこなかった魚ですが、その栄養価は非常に高く、鉄分やビタミンB12が豊富に含まれています。これにより、問題の解消だけでなく消費者の健康にも貢献することが期待されています。
商品のコンセプトは「おかずの新星」。特別な食材ではなく、家庭での食卓に定番となることを目指し、また手に取りやすい価格帯で提供される予定です。具体的なラインナップには、カレー、麻婆ソース、バーニャソースなどがあり、カジカの旨味を感じられます。さらに、健康志向の高まりを踏まえ、合成化学調味料は使用せず、素材本来の味を大切にしています。
クラウドファンディングの開始
この度、クラウドファンディングを通じて、多くの方々にその魅力を届け、消費者に新たな食材として未利用魚を手に取ってもらうことを目指します。100万トンの廃棄をゼロにし、消費者が「捨てられる魚」とされている未利用魚を積極的に食卓に取り入れることを期待しています。
まとめ
ブルーフォーラムの取り組みは、日本の漁業を支えるだけでなく、持続可能な食文化の確立への第一歩です。これからも全国で水揚げされる未利用魚を消費者に届け、共に未来の食文化を作り上げていきたいと考えています。この新しい試みが、多くの家庭に笑顔をもたらすことを願っています。