足尾の遺産と鉄道
2022-07-28 09:00:04

足尾の歴史的遺産が観光資源に、学生たちが馬車鉄道を調査

栃木県日光市、特に足尾町はかつて足尾銅山の企業城下町として栄えました。この地域では、明治時代から西洋技術の導入が進み、産業が発展しました。中でも、研究が進められているのは、「馬車鉄道」と呼ばれる歴史的な輸送手段です。この馬車鉄道は、日光駅と足尾、さらには群馬方面を結び、地方の物資運輸に大きな役割を果たしました。

最近、宇都宮大学地域デザイン科学部の学生たちが、足尾地域の観光資源としての馬車鉄道を浮き彫りにするための調査研究を開始しました。古河機械金属株式会社との連携により、調査が進められ、この地域の歴史的遺産を新たな観光資源に変えることを目指しています。

この調査は、明治政府が鉄道に関しての法律を定めた歴史的背景も考慮に入れ、その中で馬車鉄道が「鉄道」ではなく「軌道」として分類されている点を明らかにしています。日本の近代化が進む中、鉄道技術がありとあらゆる地域に根付いてきましたが、政府はその取り扱いに対し悩み、馬車鉄道は「軌道」の仲間に位置づけられました。

馬車鉄道は道路上を主に活用し、人や荷車などと共存する形で敷設されていました。明治24年に最初の敷設申請が行われ、翌年には許可を得て、日光駅から細尾、地蔵坂から足尾銅山までの路線が完成しました。これにより、足尾銅山への物資運輸が大幅に改善され、国の成長を支える重要なインフラとなったのです。

さらなる調査の中、学生たちは現地訪問を行い、地域の専門家から直接学びながら、馬車鉄道の遺構に迫る過程を経験しました。このプロジェクトは、レトロな鉱山の雰囲気が残る地域と連携し、そこでの観光開発が進行中です。

学生たちは日光市足尾庁舎で地域の専門家から温かい迎えを受け、古河足尾歴史館では現場の具体的な知識を深めました。また、鉱山の歴史を学ぶなかで、馬車鉄道からさらに発展した輸送手段の変遷についても知識を得ることができました。

今後は現地で見つかった一次史料や具体的な遺構をもとに、地域の歴史と文化を観光資源として生かすための活動を続ける予定です。学生たちの研究が進むにつれ、さらに多くの遺構が新たな観光名所へと進化していくことが期待されています。

この活動は、栃木県の大学地域連携活動支援事業の一環として進められ、地域の人々との協力のもと、地域資源の発掘に努めています。歴史的な遺産である馬車鉄道の調査を通じて、足尾町の魅力と歴史が再評価され、観光資源として輝かしい未来を迎えることでしょう。

会社情報

会社名
国立大学法人宇都宮大学 地域デザイン科学部
住所
栃木県宇都宮市峰町350
電話番号
028-649-8172

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