パンダバンブープロジェクトが生み出す新たな海の環境
和歌山県白浜町で行われている「パンダバンブープロジェクト」が、ここ3年連続でアオリイカの産卵を促して話題になっています。このプロジェクトでは、ジャイアントパンダが食べた後の竹を活用して、地元の海にアオリイカの産卵床を設置しています。これは、環境保全という観点から、里山に生息する竹の伐採を進めつつ、海の生態系を支える取り組みです。
プロジェクトの背景
近年、黒潮の大蛇行や人間活動によって、白浜の海の生態系は大きく変化しています。特に、アオリイカが産卵する際に必要とされる海藻が減少していることが問題視されています。そこで、この取り組みでは、竹を伐採した後の竹の枝葉を食べ残しとして提供し、その竹を海に沈め、産卵場を作る方法が取られています。
具体的な活動内容
2024年7月11日、今年もアオリイカの産卵が確認されました。伊古木漁港では、6月26日に20基、7月11日に15基の産卵床を設置しました。さらには、京都大学瀬戸臨海実験所の協力のもと、7月19日からは京都大学白浜水族館で産卵された卵の展示を開始します。卵が孵化する様子を観察できるだけでなく、孵化した稚イカは白浜の海に戻される計画です。
地元学校との連携
また、このプロジェクトは地元の白浜町立日置中学校とも連携しています。生徒たちは7月25日に新たに20基の産卵床を制作・設置する作業に参加します。この活動を通じて、環境保全の重要性を実感し、地域の生態系への理解を深める機会となります。
お問い合わせと訪問の案内
京都大学白浜水族館では、2024年7月19日から10月下旬までの期間中、アオリイカの卵の展示が行われます。営業時間は午前9時から午後5時までで、入館料は大人600円、小人200円となっています。展示水槽では、竹に産卵された卵を観察でき、運が良ければ孵化シーンにも出会えるかもしれません。
プロジェクトの意義
この取り組みは、自然環境の保全や地域社会との連携の強化を目指しています。地域の皆さんに環境問題について関心を持ってもらい、共に解決策を見出すきっかけとなることが期待されています。黒潮の影響を受けた海の生態系を持続可能な形で回復させ、人と動物、自然が共生できる未来を築くための重要なステップといえるでしょう。
【共催】白浜町
【協力】アオリコミュニティ、京都大学瀬戸臨海実験所など