SOMPO、米国リオ・グランデLNG事業への保険引受継続に環境NGOから批判集まる
6月24日、SOMPOホールディングス株式会社(以下、SOMPO)の年次株主総会が開催されました。日本の環境NGOスタッフは株主として参加し、SOMPOが保険引受者として関与している米国テキサス州のリオ・グランデLNG事業への更なる保険契約更新の可能性について質問しました。しかし、SOMPOの経営陣は、個別案件に関する回答は差し控えるとの回答にとどまりました。
環境NGOは、SOMPOに対し、リオ・グランデLNG事業を含む化石燃料事業への保険引受停止を求めています。
リオ・グランデLNG事業は、NextDecade社が主導するLNG(液化天然ガス)輸出ターミナル事業です。この事業は、大量のCO2排出による気候変動の悪化や、現地の大気汚染、野生生物保護区への影響、先住民族の文化遺産の破壊等のリスクから、住民から抗議の声が上がっています。
これまでに、現地住民・環境NGO・現地自治体から、事業者が適切な環境影響調査を怠っているとして、度々訴訟を起こされてきました。
SOMPOは、石炭事業への保険引受を制限する方針を日本で初めて発表した企業として、気候変動対策において日本における先駆的な取り組みを行ってきました。しかし、世界の大手保険会社と比較すると、石油・ガスの制限対象は限定的で、その取り組みは大きく遅れています。
欧州の大手保険会社では、広範囲に及ぶ石油・ガス事業への保険引受を停止する取り組みが広がり始めています。SOMPOも、2021年6月には、石炭主業企業の対象を拡大し、エネルギー採掘活動の範囲も拡大しました。しかし、石油・ガス事業が盛んに行われているノルウェー海でのエネルギー採掘事業の保険を今後も引き受ける可能性を残しており、環境NGOからは、SOMPOが気候変動への影響とリスクを深刻に考慮していないとの批判が出ています。
国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までにネットゼロを達成するためには、新規の化石燃料採掘事業は行うべきではないと指摘しています。
リオ・グランデLNG事業への保険引受継続を巡り、環境NGOからは、SOMPOが化石燃料事業への保険引受及び支援を停止すべきとの強い批判が寄せられています。SOMPOは、今後、化石燃料事業への保険引受に関する明確な方針を示し、気候変動対策への取り組みを強化していく必要があるでしょう。