新SiCモジュールの誕生
2025-09-16 10:56:35

ロームが開発した2in1 SiCモジュール「DOT-247」の全貌とその可能性

ロームが開発した新しいSiCモジュール「DOT-247」



ローム株式会社が発表した2in1 SiCモジュール「DOT-247」は、産業機器向けアプリケーションに最適化された新しいソリューションです。このモジュールは、PVインバータ、UPS(無停電電源装置)、半導体リレーなど、幅広い用途での利用が期待されています。

DOT-247の特徴と構造



「DOT-247」は、TO-247パッケージを2つ結合した設計が特徴です。この形状により、大型チップの搭載が可能になり、従来のTO-247では難しかった低オン抵抗化を実現しました。また、パッケージ構造を最適化することで、熱抵抗をTO-247に比べ約15%、インダクタンスを50%低減しました。

これにより、ハーフブリッジ構成での電力密度は、TO-247使用時の2.3倍に達し、同等の電力変換回路を約半分の体積で実現しているのが大きな利点です。これにより、設計の自由度が高まり、さまざまなアプリケーションに迅速に対応することが可能になります。

サポートと製品ラインナップ



「DOT-247」には、ハーフブリッジとコモンソースの2種類のトポロジーがラインアップされています。これにより、NPC回路やDC-DCコンバータなど、多様な回路構成への対応が可能。複数のディスクリート製品を用いることなく、一つのモジュールで機能を果たすことができ、部品点数や実装面積の削減を実現しました。

現行では、750V耐圧品と1200V耐圧品の計8品番がラインアップされ、2025年9月からは月産10万個体制での量産を開始予定です。サンプル価格は税抜きで20,000円となります。さらに、車載信頼性規格のAEC-Q101に準拠した製品も、2025年10月からサンプル出荷が行われる予定です。

新しい電力変換回路への適応



現在のPVインバータ市場では、2レベルインバータが主流となっていますが、ハイボルテージ化のニーズに応じて、マルチレベル回路の必要性も高まっています。このため、今後の技術革新には、DOT-247のような多機能かつ高効率のデバイスが求められています。

ロームは、マルチレベル回路の最小構成単位となるハーフブリッジとコモンソーストポロジーを2in1モジュール化することで、ディスクリート品よりも回路の小型化が可能となり、さらなる高性能化を目指しています。

評価キットと今後の展望



さらに、ロームは評価用ボードも提供予定で、既存製品の迅速な評価と導入をサポートします。シミュレーションや熱設計も含めた多様なサポートコンテンツがありますので、開発者は迅速に評価を進めることが可能です。

また、3相インバータ用の評価キットも準備中で、リファレンスデザインの提供を今後のアップデートとして予定しています。これにより、さまざまな分野での導入が加速することが期待されています。

EcoSiC™ブランドとロームのリーディングカンパニーとしての立場



ロームは、EcoSiC™ブランドの下でSiCデバイスを展開し、シリコンを超える性能限界を目指しています。独自の製造プロセスにより、パワーデバイス分野のリーディングカンパニーとしての地位を確立しました。今後も革新的な製品の開発が続くことでしょう。

この新しい「DOT-247」により、次世代の電力変換技術が一歩進むことを期待しています。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

会社情報

会社名
ローム株式会社
住所
京都府京都市右京区西院溝崎町21
電話番号
075-311-2121

トピックス(IT)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。