近年、私たちの生活の中で、ストレスは避けて通れないものとなっています。特に仕事や家庭での負担が増す中、ストレスの影響が健康に及ぼすリスクがますます大きくなっていると言えるでしょう。そんな中、駒沢女子大学の松木研究室と一般社団法人日本リカバリー協会が共同で実施した「10万人を対象としたストレス調査」の成果が発表されました。この調査は、2017年から続く「ココロの体力測定」を基に、全国の20~79歳の一般住民を対象に行われました。
研究の背景と目的
調査の背景には、過去の研究で明らかになった国民のストレス状況が存在します。令和元年度の国民生活基礎調査によれば、実に47.9%の人々が悩みやストレスを抱えており、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度では、約13%が高ストレス群に分類されています。これらのデータを元に、当協会と松木研究室はストレスの実態を明らかにするための研究を開始しました。
調査方法
調査は、Web調査として実施され、参加者は20歳から70歳代の男女10万人です。職業性ストレス簡易調査票の27項目を活用し、性別、年齢、婚姻状態、家庭収入など様々な項目に関する情報を収集しました。収集したデータは、二項ロジスティック回帰分析を用いて分析されました。
調査結果
調査結果によると、高ストレス群は男性で14.8%、女性で17.7%と、労働者の高ストレス群調査での約13%を上回る結果となりました。特に、通勤時間や勤務時間がストレスに大きな影響を与えることが明らかになっており、これらの要因が生活の質にどのように関連しているのかを考察する必要があります。
結論
本調査を通じて明らかになった高ストレス群の割合は、一般住民におけるストレス状況を象徴しています。今後もストレスを引き起こす要因に重点を置き、さらに深い分析を行うことで、健康維持に向けた具体的な対策を講じることが期待されます。
発表について
この研究成果は、2024年10月29日から31日まで開催される第83回日本公衆衛生学会総会にて発表される予定です。この学会は、全国から公衆衛生に関心を持つ研究者や専門家が集う絶好の機会であり、健康に対する理解を深めるための重要な場となるでしょう。
今後の「ココロの体力測定」調査も期待されています。2024年には新たに10万人を対象にした調査が行われる予定で、さらなるデータ収集と分析を通じて、国民の健康維持に貢献することを目指しています。