パナソニック、クラウド監視カメラで1年以上録画を実現する映像監視ソリューションを提供開始

パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社、パナソニックネットソリューションズ株式会社、Wasabi Technologies Japan合同会社は、クラウド監視カメラで1年以上の長期間録画を実現する映像監視ソリューションを7月2日より提供開始しました。

# 1年以上録画の必要性が高まる背景

近年、製造業においては、トラブル発生時の原因究明や製品回収を迅速に行うため、調達から製造、流通、販売までの工程を追跡可能な状態にする「トレーサビリティ」が重要視されています。このトレーサビリティ確保の手段として、製造ラインに監視カメラを設置し、製品の保証期限まで長期にわたり映像を保存することが注目されています。特に、食品、自動車、半導体など、品質保証期間が長い製品においては、このニーズが強まってきています。

さらに、健康被害や異物混入、不正製造などの事案が相次いでいることから、消費者や販売店に対して製品の安全性を示すため、長期間録画の導入が急務となっています。

しかし、従来のクラウド監視カメラは、録画期間が最長でも1年が一般的で、保存期間を超過した映像はダウンロードして自社で保管する必要がありました。このダウンロードには別途コストが発生し、保管場所の確保も課題となっていました。

また、クラウド監視カメラではなくLTOテープやレコーダーを利用すれば、1年以上録画可能な映像監視システムを構築することも可能ですが、クラウド監視カメラのように、他拠点の映像を遠隔で確認することができないというデメリットがありました。

# クラウド監視カメラで1年以上録画を実現

このような課題を解決するため、今回提供開始された映像監視ソリューションは、映像監視システム「ArgosView」とクラウドストレージ「Wasabi」を組み合わせることで、クラウド監視カメラで1年以上録画を実現しています。

本ソリューションの特長は、従来のクラウド監視カメラの録画期間が最長1年だったのに対し、1年以上録画が可能になった点です。これは、遠隔監視に特化したArgosViewと、容量課金制でデータリストア時のデータ転送費用が発生しない低価格なWasabiを組み合わせたことによって実現しました。

ユーザーは、自社での保管の手間やコストを気にすることなく、クラウド上に保存された映像データをダウンロード課金なしでいつでもリストアできます。

# ユースケース

本ソリューションは、以下のような様々なユースケースで活用できます。

従来のクラウド監視カメラユーザー: 従来のクラウド監視カメラの録画期間を超えた映像をダウンロードして自社保管する必要がなくなり、クラウド上で継続的に運用できます。ダウンロード料金や、自社保管の手間やコストを削減できます。
LTOテープユーザー: LTOテープは、長期間録画の映像データ保存先として広く採用されていますが、遠隔でのデータリストアができません。そのため、他拠点にあるLTOテープの映像を確認する際は、拠点へ赴くか、拠点へ連絡してLTOテープをリストアする必要がありました。また、LTOテープの交換作業も定期的に発生し、手間がかかっていました。本ソリューションでは、クラウド監視カメラであるため、他拠点の映像データも遠隔でリストアが可能となり、LTOテープ交換などの運用も不要になります。
レコーダーユーザー: 監視カメラ用レコーダーを使って1年以上録画を実現する場合、多数のHDDを使った機器構成となり、システム全体の故障率が上がってしまいます。また、LTOテープと同様に、遠隔でのデータリストアができない上に、システム導入後に録画期間を変更することができません。本ソリューションでは、シンプルな機器構成のため安定した運用が可能です。さらに、クラウド監視カメラであるため、他拠点の長期間録画データも拠点間ネットワークを経由してリストア作業や閲覧が可能となり、導入後の録画期間変更も柔軟に行えます。

# Wasabiの特長

Wasabiは、低価格、高品質、セキュアなクラウドストレージサービスです。

低価格: クラウドストレージ利用料は容量のみで課金され、ArgosViewサーバへのデータリストア時のデータ転送費用は発生しません。また、クラウドストレージ容量は5TB単位で追加可能で、柔軟で無駄のないサイジングを実現できます。
高品質: 99.999999999%のオブジェクト耐久性を実現しており、オブジェクトロック機能によってランサムウェア対策も容易に行えます。
セキュア: ArgosViewの映像データを、安価で安全に、手間をかけずに保管できる環境を提供します。

# まとめ

本ソリューションは、製造業におけるトレーサビリティ確保や、品質保証期間が長い製品の安全性を示すために、長期間録画のニーズが高まっている企業にとって最適なソリューションです。クラウド監視カメラで1年以上録画を実現することで、ユーザーは自社での保管の手間やコストを削減し、安全で効率的な映像監視システムを構築できます。