「断熱新時代」到来!住まいの断熱性能が健康寿命と資産価値を左右する?
株式会社リクルートの住まい領域調査研究機関である『SUUMOリサーチセンター』は、「SUUMOトレンド発表会2024」を開催し、「断熱新時代」というトレンドワードを発表しました。
近年、住宅の性能に対する関心が高まる中、断熱性能はエコな側面だけでなく、健康面でも注目を集めています。超高性能な住宅や、部屋ごと断熱するなど、断熱の選択肢も広がっています。
断熱性能への関心の高まり
「断熱性・気密性」は、注文住宅の建築において「耐震性」に次ぐ2位の人気項目となり、毎年その重要度が増しています。また、リフォーム検討者においても、「断熱性の向上」と「省エネ性の向上」を選択する割合が上昇しており、断熱への関心の高まりがうかがえます。
「断熱新時代」の背景
地球温暖化の影響で、日本の夏の暑さはかつてないレベルに達しており、従来の家造りでは対応が困難になってきています。さらに、国土交通省の推計によると、日本の既存住宅の約9割が省エネ基準を満たしていないという現状も明らかになっています。
「断熱新時代」4つのポイント
断熱性能を向上させるメリットは、従来から知られている「省エネによる光熱費削減」や「結露やカビの抑制」に加え、近年では健康面での影響も注目されています。
# 1. 全世代の健康寿命の延伸
WHOは、健康被害から居住者を守るための室温として、冬季に18度以上を推奨しています。断熱改修により、室温の安定化と急激な温度変化の抑制が期待でき、高齢者だけでなく、全世代の健康寿命の延伸に貢献するとされています。
# 2. 多様な選択肢が登場
断熱性能の高い住宅に住む選択肢は、賃貸住宅や戸建て住宅、マンションなど、多岐にわたって広がっています。賃貸住宅では、冷暖房費を抑えられる高断熱物件が登場し、戸建て住宅では、生活空間の一部を断熱する「ゾーン断熱リノベ」や「部分断熱リノベ」といった選択肢も増えています。マンションにおいても、管理組合が断熱改修を実施するケースも見られます。
# 3. 学校や公共施設などへの広がり
学校における断熱改修は、学習環境の改善に効果が期待されています。教室の断熱性能を高めることで、集中力欠如や体調不良の訴えが減少し、より快適な学習環境を実現できる可能性があります。
# 4. 売却時も高評価となる査定システムへの挑戦
日本の住宅市場では、建物への評価が低く、投資に見合わない資産となっている現状があります。鳥取県では、省エネ住宅の普及を目指し、耐震性や省エネ基準などの性能に応じて建物の評価額を引き上げる新しい中古住宅の評価法を導入しました。
まとめ
「断熱新時代」は、単に省エネや快適性だけでなく、健康寿命の延伸や資産価値の向上など、住まいに関する多岐にわたる価値観を変化させる可能性を秘めています。断熱性能は、これからの住まい選びにおいてますます重要な要素となるでしょう。