豪雨予測に新たな光！A-SKY/MAX-DOASによる水蒸気観測の挑戦

千葉大学大学院からの研究チームが、豪雨を引き起こす要因の一つとして注目される水蒸気の観測手法「A-SKY/MAX-DOAS」を利用して、重要な成果を上げました。この研究により、大気の下層における水蒸気濃度の不均一性が明らかになり、今後の豪雨予測に新しい光を投じることが期待されています。

研究の背景

近年、豪雨災害が増加する中、その予測精度の向上が求められています。特に、集中豪雨を引き起こす要因として、気象庁の数値モデルでは検出されづらい水蒸気の水平不均一性が重要です。この研究では、6年間の連続観測を通じて、この不均一性を高精度で観測することに成功しました。

研究グループは、国際リモートセンシング観測網「A-SKY」を活用し、つくばと千葉に設置したA-SKY/MAX-DOASシステムを用いて、水分濃度の方向ごとの違いを観測しました。これにより、特に不安定な大気の状態では水蒸気の不均一性が顕著になる傾向が示されました。

研究成果

観測データでは、つくばでのラジオゾンデによる水蒸気濃度と相関を取りながら、A-SKY/MAX-DOASで測定された濃度が高い一致度を示しました。特に、相関係数は0.971に達し、非常に信頼性の高い結果が得られたことが評価されました。

続いて、千葉市の4方位観測システムを使用し、水蒸気濃度の水平方向の不均一性を可視化。この観測により、大気が不安定な時期ほど、濃度の偏りが大きくなるという結果が得られました。特に、停滞前線が影響を与える際の水分移動が不均一性を加速させることが確認されました。