株式会社Digeonが実施した調査によると、全国のビジネスパーソン517名を対象に行われた「RAG(社内データをAIに活用する仕組み)の認知・導入実態」に関する調査は、企業のRAG導入に関心を持ちつつも、導入が進んでいない現状を浮き彫りにしました。調査によれば、RAGを導入した企業はわずか17.8%。逆に、導入を希望する企業は35%に達しており、企業がRAGの必要性を感じつつも、なかなか実行に移せない様子が見て取れます。
調査対象となった企業は、現在の生成AI活用状況についても質問されました。結果は、「まったく利用していない」が35.4%で最も多く、「正式に導入している」が18.4%、「一部の部署で試験的に利用」となると15.5%でした。この数字から、企業における生成AIの導入がいかに進んでいないかが伺えます。
さらに、RAG導入が遅れている理由としては、「どの業務に使うかが分からない」という点が29.1%で最多となり、それに続いて「技術人材の不足」という理由が27.5%と挙がっています。この結果は、RAGを導入するにあたっての課題が、技術的な難しさだけでなく、実際の業務にどのように適用できるか、その判断材料が不足していることに起因していることを示しています。
また、生成AI導入時に最も重視される点については、「セキュリティ・ガバナンス」が23.6%で最多となり、続いて「使いやすさ・操作性」が19.3%、さらには「アウトプット品質」が13.2%という結果が得られました。これも、企業が生成AI導入において重視するのは安全性や管理能力が優先されていることの証明です。
調査では、約56%の企業が「チームで使える環境があればAIを活用したい」という意向を示したことも注目されます。企業が生成AIを活用する際、個人単位ではなく、チームや部署といった組織単位での効率的な活用を目指している現れと言えるでしょう。
RAG導入の意向が高まる中で、実際に導入できている企業の割合が著しく低い背景には、まず起点となる課題を解決する必要があります。どの業務に、どのようにAIを取り入れるか、そのプロセスを明確にしていくサポートが企業には求められています。
株式会社Digeonの代表取締役である山﨑祐太氏は、今回の調査結果を受けて、「RAGの導入に対する関心はあるものの、なぜ導入に踏み切れないのかを明確にする必要がある」と述べ、その際に必要となる環境整備の重要性を強調しました。企業が安心してAIを試せる環境を構築し、業務に適用可能な画面構成を検討していくことが、今後のAI導入にとって鍵となるでしょう。