医療介護連携を強化するためのケアマネジャーの役割と医薬品情報の課題
地域包括ケアシステムの構築が2025年を目指して進む中、高齢者が自分らしく、住み慣れた地域で生活を続けるためには、医療と介護の連携が不可欠です。その中で、ケアマネジャーの役割はますます重要になっています。
一般社団法人くすりの適正使用協議会と株式会社インターネットインフィニティーは、ケアマネジャーが医薬品情報をどう理解し、それをどのようにケアに活用しているのかを明らかにするため、共同でアンケート調査を実施しました。この調査から、ケアマネジャーが直面する医薬品情報へのアクセスやその内容に関する課題が浮かび上がりました。
調査の概要と参加者の属性
まず、調査の期間は2024年8月3日から8月13日で、547人のケアマネジャーが参加しました。主任ケアマネジャーが64%、居宅介護支援事業所に勤務する者が91%を占めており、調査対象者の多くは経験豊富なケアマネジャーでした。回答者の約15%が医療系資格を持っており、主に介護・福祉系の資格を持つ人々が多いことが分かりました。
ケアマネジャーが医薬品情報を調べる理由
多くのケアマネジャーが個別の医薬品情報を調べる頻度は高く、月に1回以上が48.1%、1週間に1回以上が30.9%という結果でした。主な調査理由は、ケアプランを作成する際や利用者からの質問に対する回答、医療職との連携が挙げられます。
医薬品情報調査時の課題
ケアマネジャーの多くが、医薬品情報は専門用語が多く理解しづらいと感じており、88.5%がインターネット検索で情報を探す一方で、専門書籍や薬情などの利用は半数以下にとどまっています。自分で調べる際の不安材料として、情報の多さや正確性の不明瞭さが挙げられています。
ケアマネジャーが求める医薬品情報とは
ケアマネジャーが求める医薬品情報には、薬の作用や副作用、服薬管理上の注意点が多く含まれています。このようなニーズに応じ、医薬品情報の提供方法についての工夫が必要です。特に、インターネットを通じて容易に理解できる形での情報提供が重要とされています。
産業界の取り組み
調査結果を受け、くすりの適正使用協議会は、一般向け医薬品情報「くすりのしおり」に対する認知度を向上させる取り組みを強化する方針です。実際に「くすりのしおり」を確認したケアマネジャーからは今後活用したいという意見も寄せられています。
このような取り組みを通じて、専門的知識を持たないケアマネジャーでも理解しやすい医薬品情報が提供されることで、地域医療と介護の連携がさらにスムーズになることが期待されます。今後の施策に注目が集まります。