アルファフュージョンが新しいがん治療法を開発へ、田辺三菱製薬と提携

アルファフュージョン、田辺三菱製薬と新規がん治療法を共同研究

アルファフュージョン株式会社が、田辺三菱製薬株式会社と医療の新しい未来を切り開くべく共同研究契約を結びました。両社は、アスタチン-211を標識した放射性医薬品の研究開発に挑みます。これは、近年、世界中の医療機関で注目されている標的α線核医学治療（TAT）の新たな手法です。

がん治療の新たなパラダイムシフト

TATは、α線を放出する放射性同位体をがん細胞に特異的に集めることにより、がん細胞を物理的に攻撃する新しい治療法です。この治療法は、エネルギーが高く、体内での移動距離が限られているため、周囲の正常細胞への影響を最小限に留めつつ効率的にがん組織を破壊することが可能です。

さらにアスタチン-211は、比較的短い半減期（7時間）を持ち、複数回の投与一が可能で、治療期間が短縮される利点もあります。患者への負担を軽減するこの技術は、将来的に多くの医療機関で標準的な治療法として導入されることが期待されています。

研究の具体的な展望

今回の共同研究では、アルファフュージョンが既に大阪大学との協力を進めてきた成果をビジョンに、田辺三菱製薬とVeneno Technologiesと手を組みます。Veneno Technologiesの独自技術によって得られるジスルフィドリッチペプチド（DRP）は、がんに関連する標的への高い選択性を持っており、アスタチン-211の標識に適した体内動態を示します。これにより、新しい治療薬を生み出すポテンシャルが期待されます。

アルファフュージョンは、この専用のアスタチン創薬プラットフォームを駆使し、Veneno Technologiesの最先端技術、さらに田辺三菱製薬の創薬能力を融合させることによって、TATとアスタチン-211の医薬品化の可能性を一層広げる狙いです。

この新たな治療法は、これまで治療選択肢が乏しかったがん患者に貴重な希望をもたらすことを目指しています。