スタンレー電気が誇る最新コーティング技術「ASTUV」
スタンレー電気株式会社が新たに打ち出したコーティング技術「ASTUV(アスターヴ)」が、自動車業界に革新をもたらす。環境意識が高まる中、同社はCO₂排出量削減を目的とした技術を開発し、その結果「ASTUV」というブランドが誕生した。
この新しいコーティング技術は、業界初となるUV硬化塗料とUV光源を活用して硬化させる製造プロセスを特徴とする。ASTUVを用いることで、スタンレー電気のヘッドランプ製造において消費電力が70%以上削減可能となる。これは、2030年に向けてのCO₂排出量50%削減という目標に向けた第一歩でもある。
ASTUVの名称の由来
「ASTUV」という名称は、「All + Surface Treatment (STanley) + UV(紫外線)」の略で、全ての表面処理を熱風ではなく紫外線を使って行う技術を意味する。この新しい手法がもたらす効果には、品質の向上という大きなメリットが含まれている。従来の表面処理プロセスでは、塗料に含まれる界面活性剤が結露によって流れ出てしまい、ヘッドランプに白い跡が残ることがあったが、ASTUVではこの問題が解消される。
この技術により、カバーレンズの曇りを防ぎながらも、均一に光を照射できる特長がある。つまり、品質を確保しながら環境に配慮した製造プロセスが実現されたのだ。
注目の2つのポイント
ASTUV技術の注目すべき2つのポイントは、品質向上と消費電力の削減である。まず品質向上については、ランプ内部と外部の温度差によって結露が発生しないため、垂跡が生じず、長期間にわたり曇りを防ぐことができる。また、コーティング面が親水性であることで、水膜が形成され、水滴の発生を防ぐことができる。
次に、消費電力の削減の面では、有機溶剤を含まないUV硬化塗料を使用し、熱風を用いずに硬化を実現することで、大幅な電力削減が可能になる。これにより、自動車用ランプの製造工程における省エネルギーが促進され、環境への負荷を軽減する。
目指す未来
スタンレー電気は、すでに自動車メーカーへのASTUV技術の提案を開始しており、2030年までに全ての生産拠点において自動車用ランプの表面処理工程をASTUVに切り替えることを目指している。また、今後はASTUV技術を他の製造プロセスへも応用し、業界全体の電力削減に寄与する意向を示している。
会社概要
スタンレー電気は1920年に設立され、自動車用電球や特殊電球の製造販売から始まり、現在では世界中の主要な四輪・二輪メーカーに製品を提供している。自動車照明以外にも、可視光、赤外、紫外の各種LEDやLCD、電子応用製品など多岐にわたる商品を展開し、暮らしの安全を支えている。ASTUVの登場により、今後の技術革新が期待される。