日本ゼオン、新プラント建設に著手
日本ゼオン株式会社(以下、ゼオン)は、山口県周南市に所在する徳山工場で、新しい単層カーボンナノチューブ(SWCNT)のプラント建設に着手しました。この新プラントは、2028年の本格稼働を目指しており、完成後には生産能力が現行の数十倍に拡大する見込みです。この拡張により、リチウムイオン電池向けのSWCNT市場におけるゼオンの存在感がさらに増し、安定した供給体制の構築が期待されています。
このプラントの構想は、経済産業省による「蓄電池に係る供給確保計画」として認定を受けている点が注目されます。2026年8月25日に執り行われた起工式には、経済産業省、山口県および周南市の関係者が招かれ、ゼオンの豊嶋社長や工場長の本間を含む44名が出席し、安全祈願が行われました。
カーボンナノチューブの重要性
カーボンナノチューブは、非常に高い導電性と軽量性を特徴とする新素材であり、様々な用途が期待されています。その中で、SWCNTは特に、リチウムイオン電池のエネルギー密度とサイクル寿命を劇的に改善する能力があり、電気自動車、ドローン、eVTOL航空機といった民生用途から、AIサーバーBBUや再生可能エネルギーシステム、産業用ロボティクスに至るまで、需要が急増しています。ゼオンは、2015年からスーパーグロース法を用いたSWCNTの量産を手掛け、「高純度」「高比表面積」「高アスペクト比」を持つSWCNTを「ZEONANO®」のブランド名で製造・販売しています。
次世代の生産技術
新プラントでは、従来のスーパーグロース法をさらに進化させた独自製法を採用します。これにより、同規模の設備でありながら、生産量を大幅に増やすことができるトンネルを通った品質向上や生産効率化も期待されます。
ゼオンは中期経営計画「STAGE30」においてSWCNTを次の成長ドライバと位置づけており、対象市場のCAGRを上回る成長を目指しています。今後も市場ニーズを的確に捉え、社会の期待に応えることで、人々の快適な生活に寄与していくとしています。
新プラントの完成は、リチウムイオン電池の供給不足といった問題解消に貢献し、ゼオンの技術力がさらに評価されることが期待されます。