渋谷区のマンホールを守る市民の力
2021年8月、渋谷区において「マンホール聖戦 in 渋谷」と名付けられた実証実験が行われました。このプロジェクトは、市民が協力して約1万個もの下水道マンホール蓋の写真を収集し、インフラ情報のデジタルデータを蓄積することを目的としています。実施主体は、全域のインフラ情報プラットフォームを構築・運営するWhole Earth Foundation(WEF)で、同法人は日本鋳鉄管株式会社との提携を通じて、マンホールに関する新たなアプローチを進めています。
実験の背景と目的
日本の都市インフラは年々老朽化が進み、そのメンテナンスや情報の把握が重要な課題となっています。その中で、WEFは市民参加型の取り組みを通じて、リアルタイムでインフラの状況を把握できる仕組みを目指しています。この度の実験では、専用のアプリ「鉄コンアプリ」を活用し、市民一人ひとりがスマートフォンを使ってマンホール蓋の写真を投稿するという形式をとりました。
実証実験のプロセス
8月15日から19日の期間において、渋谷区内で行われたこの実証実験には、約700名の市民が参加しました。特に、初日には78%にあたる7800個のマンホール蓋の写真が集まり、最終的には3日間で全てのマンホール蓋の写真を収集するという驚異的な成果を上げました。
参加者は、マンホール蓋の特徴やデザインを楽しみながら撮影に励み、コロナ禍や天候不良という厳しい状況にもかかわらず、熱意を持って取り組んでいたことが伺えます。特に世代別では、20〜30代の若い参加者が多く、彼らが将来の社会課題に積極的に関与していく姿勢が見受けられました。
新しい発見と社会的影響
写真収集というシンプルなアプローチではありますが、この実証実験を通じで新たなインフラ課題への関心喚起と、参加者同士の交流が生まれました。また、収集結果からは公開されている下水道台帳には載っていない新しいマンホールも存在することが確認でき、今後のインフラ情報の整備に向けた大きな一歩となることが期待されています。
事後アンケートの結果
実証実験後には参加者に対してアンケートを実施し、その結果が公開されました。主な参加理由として最も多かったのは「インフラの課題解決に貢献したい」というものであり、多くの人々がこのプロジェクトの意義に賛同していることが示されました。また、「家族と一緒に参加できる活動」としての魅力も高く評価され、地域への愛着やコミュニティ意識の向上が期待されます。
今後の展望
WEFはこの実証実験を契機に、さらなる地域への取り組みを展開する計画を持っています。今後、協力を得られる自治体を広く募集し、地域にとって有益なインフラデータを使用した新たなプロジェクトを模索しています。
お問い合わせ
- - WEF(Whole Earth Foundation)
- 所在地: 東京都渋谷区
- 公式サイト:
WEF公式サイト
- お問い合わせ:
[email protected]
今回の取り組みは、単にマンホールの写真を収集することにとどまらず、地域の人々が協力し合ってインフラ課題に取り組む新たなモデルケースを提供するものとなりました。