2023年9月10日から16日にかけて、全国の児童館が自殺予防週間に向けた取り組みを強化します。これは、しんどさを抱える子供たちに向け、「じどうかんもあるよ」というメッセージを通じて、それぞれの居場所としての児童館を広めようとするものです。提唱元である一般財団法人児童健全育成推進財団によるこの取り組みは、全国各地で生きづらさを感じている特に小学生や中高生世代に向けたものです。彼らが安心して訪れて、自分の居場所を見つけられるようにすることを目的としています。
厚生労働省による報告では、2023年に自殺した小中高生は513人に達しており、自殺の原因としては学業への不安や進路に関する悩みが多く見られています。特に学校の長期休暇明けには自殺者が増える傾向があり、このことからも、その背景に潜む問題をしっかりと受け止める必要があります。
児童館は、本来、子供が自由に出入りでき、安心して過ごせる場所です。そのため、各児童館には悩みを抱えている子供たちが相談できる専門の職員が常駐しており、彼らの心のつまづきを解消するためにさまざまな支援を行っています。また、昨年末に閣議決定された「こども家庭庁のこどもの居場所づくり指針」でも、児童館は子どもにとって安心できる居場所の一つとして位置づけられています。
「じどうかんもあるよ」というメッセージは、そうした児童館職員たちの強い願いから生まれました。これにより、地域をさまよう子供たちや命が危ういと感じている子供たちに、「児童館はあなたを支えてくれる場所ですよ」という思いを届けようとしています。このメッセージが児童館を利用するきっかけや居場所としての重要性を再確認してもらうことが期待されます。
実施内容の一つとして、各地の児童館ではポスターやチラシを掲示・配布し、広報紙やSNSでも「じどうかんもあるよ」の文言を積極的に発信しています。また、各地域の児童館はそれぞれの実情に沿ったオリジナルメッセージを展開し、「児童館においで」「必ず力になる」といった子供たちに寄り添った言葉も含まれています。そして、この取り組みは厚生労働省が推進する自殺予防活動の一環として登録されています。
さらに、各児童館では初めて利用する子供たちが来館しやすいような呼びかけや、特別なイベントの開催など、居場所づくりにも力を入れています。例えば、中高生世代限定の時間が設けられ、スポーツや文化活動を楽しむことができる場を提供している児童館もあります。こうした活動を通じて、子供たちが気軽に児童館を訪れることができるように、地域全体で支援の輪を広げています。
自殺予防週間は、地域社会全体が子どもたちの命を守るために何ができるかを再考し、啓発活動を進める大切な機会です。児童館という居場所が、子どもたちにとって安心できる存在であり続けるためには、継続的な取り組みが求められます。私たち大人が、その環境を整えていくことが今後の課題です。子どもたちが安心して成長できる社会を共に築いていきましょう。