物流業界の新たな動き
近年、物流業界はさまざまな難題に直面しています。労働力不足や非効率な商習慣、さらには環境問題がその主な要因です。そんな中、Sustainable Shared Transport(SST)が新たな一歩を踏み出しました。2025年2月、SSTは国土交通省の物流総合効率化法に基づく出資第一号案件として選ばれ、数社から出資を受けたことが発表されました。
SSTとは?
Sustainable Shared Transport株式会社は、東京の中央区に本社を構え、2024年5月に設立されました。主な事業内容は、標準化された商流と物流情報を活用した共同輸配送のオープンプラットフォームの提供です。このプラットフォームは、あらゆる荷主企業や物流事業者が利用できるもので、2025年からは「SST便」としてサービスを開始する予定です。
今回の出資は、独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構や日本政策投資銀行、みずほ銀行、流通経済研究所などが行い、総額8000万円にのぼります。この出資が S S T の持続可能なサプライチェーンの構築に向けた活動をより強固にすることには間違いありません。
課題解決に向けての期待
国土交通省の物流・自動車局は、SSTの事業の中で、標準化されたパレットの混載が積載率の向上に寄与することを期待しています。これにより、政府が提唱する「物流効率化」の政策が一層進むことになります。特に、物流事業者と荷主企業の間の連携が強化されることが重要です。これにより、幹線・地域物流における担い手不足や、貨物量の減少、積載率低下といった課題解決に期待が寄せられています。
また、鉄道・運輸機構のコメントからも、SSTが持続可能なサプライチェーンを目指す取り組みを支援できたことに対する喜びが伝わります。具体的には、物流分野でのデジタル化(DX)とグリーン化(GX)によって、物流の効率化と環境負荷の低減を図ることが求められています。
出資企業の意気込み
日本政策投資銀行は、SSTの進める共同輸配送のオープンプラットフォームが国内の物流インフラの強靱化や高度化に寄与することを期待しています。さらには、これが物流業界全体のイノベーションにつながることも望んでいます。
また、みずほ銀行は、SSTのプラットフォームが企業間の垣根を越えた共同輸配送を実現し、「輸送力不足」や「GHG排出量削減」などの社会課題の解決に向けて、新たな価値を生み出す取り組みであると評価しています。
流通経済研究所も、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムに基づき、リテールデータ基盤の研究開発を担当しており、SSTとの協力により持続可能で生産性の高いサプライチェーンの構築を進めていく方針です。
未来に向けた展望
SSTは、持続可能な社会を目指す中で、幅広いステークホルダーとの連携を強化していく意向を示しています。出資を通じたパートナーシップの構築は勿論、一般からの参画を募ることで、より多様な企業に利用されるオープンプラットフォームを目指しています。
新たな物流の形を創造していくSSTの動きは、今後の日本の物流業界にとって非常に重要な意味を持つことになるでしょう。持続可能なサプライチェーンの実現に向けたアプローチは、今後も注目され続けるに違いありません。