小田原市立城南中学校での三淵嘉子氏についての講義
2023年9月9日、神奈川県小田原市の城南中学校にて、NHKの連続テレビ小説『虎に翼』の主人公モデルである三淵嘉子氏に関する特別講義が開催されました。この講義は、明治大学から出張された専門の講師によって行われ、生徒たちに三淵嘉子氏の業績やその歴史的背景を知る貴重な機会となりました。
講義には、同校の全生徒約150名が参加し、活気ある雰囲気の中で進行しました。講師陣は、明治大学史資料センター所長の村上一博教授を中心に、同ドラマで法律考証を担当する彼に加え、三淵邸・甘柑荘保存会の上谷玲子代表理事などが登壇しました。最初に村上教授が登場し、三淵嘉子氏の法曹界での偉業について解説しました。彼の話から、嘉子氏がいかにして時代の壁を打破し、女性として初の裁判官として活躍したかが伝わりました。
続いて、上谷代表理事は、三淵邸・甘柑荘の文化的な価値について語りました。この家屋はただの建物ではなく、地域の文化遺産として存続する意義を持っていることが説明され、保存活動の重要性が強調されました。彼女の言葉に、生徒たちは地域への理解と貢献の必要性を感じ取ったことでしょう。
最後のパートでは、明治大学博物館の学生広報アンバサダーである村松遥香さん(文学部3年)と中野陽登さん(商学部2年)が、現在博物館で開催中の「女性法曹養成機関のパイオニア—明治大学法学部と女子部—」という企画展について説明しました。この中で、三淵邸や甘柑荘を巡るスタンプラリーなどのイベントを紹介し、興味を引くことに成功しました。生徒たちは具体的な学びとして、実際に施設を訪れることが奨励されました。
講義の目的
この講義の背後には、明治大学による地域との連携がありました。特に、小田原市板橋地区に位置する三淵邸・甘柑荘を通じて、地域の歴史や文化を学ぶことが目的とされています。三淵嘉子氏は、日本初の女性弁護士として、また法律の世界での道を切り開いた先駆者として知られています。彼女の業績を通じて、生徒たちに郷土の歴史についての理解を深めてもらうことが期待されています。
彼女の生涯を振り返ると、三淵嘉子氏は明治大学法学部を卒業後、門戸が狭いとされた裁判所で能力を発揮し、司法制度の改革にも関与しました。彼女が初めて裁判官に任命された際には、女性がこの地位に就くことは非常に珍しく、当時の社会において大きな意味を持っていました。その後は、男女平等の観点から主導的な役割を果たし、現在の雇用における男女平等に向けた法律の成立にも貢献しました。
講義を受けた生徒たちは、単なる歴史の学びだけでなく、自らの未来において女性が活躍する場をどのようにして増やせるか、自身に何ができるかを考えるきっかけにもなったことでしょう。本市におけるこのような教育の取り組みが、次世代のリーダーを育成する一助となることを望みます。また、この機会をきっかけに、地域の文化や歴史を大切にしていく姿勢を多くの人々が共有していくことが重要です。