非線形常微分方程式の線形化ライブラリ「lin-ode」の開発
概要
株式会社QunaSysと国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は共同で、非線形な常微分方程式に特化した線形化ライブラリ「lin-ode」を開発しました。このライブラリは、量子アルゴリズムを通じて非線形方程式を効果的に扱うための基盤技術を提供します。
量子計算において、非線形方程式をそのまま扱うことは難しいため、まずは線形化が必要です。しかし、線形化の方法は多岐にわたり、基底関数系による影響も考慮しなければなりません。そのため、異なる線形化方式や基底関数系との比較、実装検証を効率よく行うための共通のフレームワークが求められました。
「lin-ode」は、これらのニーズに応えるべく、オープンソースソフトウェアとして公開されました。ソースコードはGitHubで公開され、誰でも利用可能です。
開発の背景
このプロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業目標6の一環として実施され、誤り耐性量子コンピュータのアプリケーション研究開発をテーマとしています。プロジェクトマネージャーの御手洗光祐准教授(大阪大学)を中心に、産総研の遠藤克浩主任研究員や水野雄太主任研究員が参画しています。
ライブラリの特徴
「lin-ode」では、以下の特徴を備えています:
- - 複数の線形化手法への対応:Koopman、Koopman-von Neumann(KvN)、Liouvilleの3種類の線形化方式に対応し、幅広い応用が可能です。
- - 基底関数系の選択肢:CarlemanやPivot-switching Carleman、ガウス関数重み付きエルミート多項式など、様々な基底関数系を活用できます。
- - 効率的な計算:数式の内部表現を保持し、必要な行列要素を効率よく計算します。これにより、全行列を生成する手間を省きます。
ユーザーは、常微分方程式の右辺を多項式として入力し、線形化方式と基底関数系を選択することで、行列表現を生成できます。また、添え字を用いた数式記述や周期境界条件にも対応しています。
将来の展望
QunaSysは、産総研と協力し、「lin-ode」を活用した環境を整備することを計画しています。量子CAEに関するアルゴリズムの設計や検証をサポートし、さらなる発展を目指します。
今後の研究開発においては、複雑な非線形フィールドの解析や新たな材料開発に貢献する技術として「lin-ode」を活用していく所存です。
会社情報
株式会社QunaSysは、東京都文京区に本社を構え、量子コンピュータソフトウェアの開発に注力しています。量子機械学習や量子化学だけでなく、CAE分野でも幅広い研究を行っており、さまざまな分野との連携によって、量子コンピュータの実世界での応用を進めています。
詳細は、
QunaSysの公式ウェブサイトをご覧ください。