平和を考える講演会が流山で開催
2023年12月16日、千葉県流山市のスターツおおたかの森ホールにて、特定非営利活動法人「なかよし学園プロジェクト」が主催する講演会「世界の現状から『平和を考える』~難民キャンプで授業を行う~」が行われました。このイベントには市民、教職員、中高生など約400名が集まり、流山市長も参加し、大変な盛況を見せました。
難民キャンプの状況をリアルに伝える
講演は、なかよし学園が行ってきた南スーダン難民キャンプやコンゴ民主共和国の少年兵更生施設、さらにはルワンダやシリアなどの紛争地域での教育活動を紹介するものでした。講師の中村雄一氏は、現地の子どもたちが教科書や机がほとんど無い中でも、ノート一冊とチョーク一本を使いながら学びを深めている実態を、写真や動画を交えて説明しました。
会場からは、「こんな環境でも子どもたちは笑顔で学んでいるのか」といった感想が寄せられ、また「学校があることがどれほど恵まれたことなのか」との声も聞かれました。
人権と平和の重要性を考えるディスカッション
講演の後半には参加者同士が「答えのない問い」について意見を交わすディスカッションタイムが設けられました。参加者は、大規模災害時の避難所の運営方法や戦争の無力感に立ち向かう方法、さらには子どもたちに世界の現状をどう伝えるべきかなど、多様な視点から率直な意見を交わしました。
中村氏は「重要なのは正解を求めることではなく、問いを持ち続けて行動することだ」と述べ、会場には「自分も人権と平和の一員である」という意識が浸透しました。
地域と世界をつなぐ活動の広がり
この講演会は流山市での活動に留まらず、12月6日には岐阜県養老町で「子どもと共に未来をつくる人権教育」に関する講演を行い、さらには12月13日には東京・湯島天神でも特別勉強会を開催しました。これらの取り組みは、日本の学校と海外の教育現場を結びつける「世界とつながる学びプロジェクト」として展開されています。
なかよし学園は、平和と人権を“自分ごと”として捉え、地域の様々な課題に一緒に目を向ける活動を進めています。
今後の展望と活動の方向性
流山講演で受けた質問や意見をもとに、なかよし学園では「世界とつながる学び」プログラムを一層充実させていく予定です。また、自治体や学校、市民団体からの講演依頼にも対応し、全国各地で「往還型の人権・平和教育」を広げていく考えです。
中村氏は「戦争や災害のニュースを見て、無力感に苛まれることもあるが、今日ここで語られたことを大切にし、一人ひとりが行動を起こすことが重要である」と強調し、平和づくりの意義を改めて訴えました。
このような講演を通じて、世界の現場の声を広げ、日本の地域における人権意識の向上を目指すなかよし学園の意義深い活動に今後も注目が集まります。