JR西日本とELYZA、生成AIによるVoC分析パッケージの実運用を開始

JR西日本とELYZA、VoC分析パッケージを実運用開始

JR西日本カスタマーリレーションズ（JWCR）とELYZAが、新たな生成AIを搭載した客様の声（VoC）分析パッケージを開発し、実際の運用を開始しました。この取り組みは、JWCRのコンタクトセンターが抱える顧客対応業務の効率化を目指しており、AI技術を活用することで顧客のフィードバックをより迅速かつ的確に分析することを可能にしています。

プロジェクトの背景

JWCRとELYZAは2022年から、顧客対応業務の質を向上させ、業務の負担を軽減するために、生成AIを基盤としたデジタルトランスフォーメーション（DX）プロジェクトを実施してきました。このプロジェクトの一環として、2023年にはメールや電話でのお問い合わせを要約するAIツールを導入し、見込み通りの効果を実感しています。

VoC分析パッケージの特徴

今回のVoC分析パッケージでは、顧客からのあらゆるフィードバックを効率的に集計し、その結果をダッシュボードで視覚化することができます。これにより、従来は個々の担当者の経験や判断に依存していた集計が標準化され、データの信頼性が向上します。また、VoC分析AIアプリも開発中で、的確な原因分析やサービス改善の仮説を提示する支援を行います。

VoCの分析意義

JWCRでは、毎月約7万件の顧客からの問い合わせを受け付けており、それらはすべてVoCデータとして蓄積されています。これらのデータを適切に分析することで、サービスの質を向上させ、顧客ニーズに応える企業文化を育むことができます。組織全体が顧客の意見にアクセスしやすくなることで、社員が気軽に顧客の声に向き合える環境も整備されています。

業務の効率化と成果

生成AIの導入により、週次報告や非常時の反響報告など、業務の効率化が実現しました。従来の方法では週報作成に2時間を要していたのが、ダッシュボードを活用することで30分程度で完了するようになりました。また、急増する問い合わせの集計も自動化され、従業員の負担が軽減されています。これにより、迅速な情報の共有が可能になり、顧客対応の質も向上しました。

各社代表者のコメント

JWCRの社長、堤恵理子氏は、「この新たな取り組みによって、我々の業務の生産性が向上し、顧客理解が深まることを期待しています」と述べています。一方、ELYZAの社長、曽根岡侑也氏は、「日本において生成AIの実装はまだ珍しいが、今回の成果は業界への重要なメッセージになる」と語りました。

今後の展望

JWCRとELYZAは今後も、生成AIを活用した新たな価値創出に向けて活動を続けていく予定です。この取り組みが、今後のコンタクトセンター業界への影響を与えることが期待されています。顧客からのフィードバックをしっかりと分析し、次なるサービス改善策につなげるための基盤を確立することが、両社の目指す目標となっています。

この新しいVoC分析パッケージは、より質の高い顧客サービスを提供するための重要な一歩となるでしょう。