地元漁業者支援の新たな一手
生活協同組合コープこうべは、2021年の活動100周年を祝して「CO・OP NEXT100商品」という新たなプロジェクトをスタートさせました。この取り組みは、地域の生産者と協力しつつ、社会の課題を解決するために設計されています。最近、このプロジェクトの一環として、神戸市で水揚げされた低利用魚であるクロダイを活用した新商品、「兵庫県産クロダイ使用ちぎり揚げ」が誕生しました。
低利用魚の問題と対策
低利用魚とは、旬ではなく、脂の乗りが悪いために価値が低いと見なされる魚のことです。特に神戸市周辺では、春に多く水揚げされるクロダイがこのカテゴリーに入ります。高評価されるのは秋冬のクロダイで、春のものは取引価格が低く、市場での流通も難しいのが現状です。このような状況を改善するため、地元の漁業者たちは困難な状況に直面しています。
そこで、2024年には神戸市漁協からクロダイの問題を耳にしたカネテツデリカフーズが動き出しました。これまでほうれん草の外葉を有効利用した商品開発を一緒に進めてきたコープこうべに相談し、協力体制が整いました。
産業間の連携で生まれた商品
新商品を開発するためには地元の漁業者、加工業者、さらには企業が連携することが不可欠です。神戸市漁協が冬に収穫したクロダイを冷凍処理し、さらに協同食品センターがそれをすり身に加工します。その後、カネテツデリカフーズが淡路島産の玉ねぎやごぼう、にんじんを加えて、絶妙な味わいの練り製品に仕上げます。
「クロダイを食べる文化を広め、漁業者にも喜んでもらう商品を作りたい」と強い思いを持っているコープこうべの職員と組合員は、この商品開発にあたり、意見交換を重ねてきました。その結果、玉ねぎの自然な甘みやごぼうの香り、にんじんの彩りが絶妙に融合したちぎり揚げが完成しました。
商品概要
この新たな商品、「兵庫県産クロダイ使用ちぎり揚げ」は、1パック80gで構成され、店舗での取り扱いは9月5日から7日までの数量限定です。また宅配に関しては、8月の第4回目の配布からデビュー予定となっています。賞味期限は製造日を含めて11日、アレルギー情報は小麦、卵、大豆、魚介類を含むため、消費者には注意が必要です。
美味しさと地域貢献を兼ね備えたこの商品は、今後の食文化に新しい風を吹き込み、神戸の食材を使った魅力的なメニューを提案することでしょう。食卓にできる限りの美味しさと社会貢献を同時に提供することが求められる現代、コープこうべはその一歩を踏み出したのです。