能登の黒瓦再生プロジェクト
2023年、株式会社CACL、株式会社LIXIL、有限会社永山祐子建築設計の三社は、珠洲市で共同プロジェクトを発表しました。ナビゲーターとして珠洲市長を招き、地元の伝統的な黒瓦をアップサイクルする試みについて語られました。このプロジェクトは2025年9月1日から始まりますが、背景には「創造的復興」の理念があります。
プロジェクトの目的
能登半島地震により多数の家屋が倒壊しましたが、その家で使用されていた黒瓦は「記憶のシンボル」として再活用されることになりました。従来なら廃棄されてしまう運命にあった黒瓦を、地域の文化を残すための材料として生かしていくのです。現在、約5600世帯の住宅が被害を受け、3900余りの家屋が損壊しています。そのため、公費解体により瓦の回収が進められ、プロジェクトが開始されました。
発表会の様子
珠洲市役所で開かれた発表会には、CACLの奥山純一代表、LIXILの羽賀豊常務、永山祐子建築設計の永山祐子氏、そして泉谷満寿裕珠洲市長が登壇しました。
プロジェクトの背景
奥山氏は、陶磁器を新たな価値として再生するプロジェクトの一環で、黒瓦の破片に出会い、その美しさに魅了されたと語りました。被災した家屋の住民から聞いた「壊れた家を目にすることで懐かしさが蘇るが、解体されることで記憶も消えてしまう」という声が、彼の心に強く響いたそうです。
珠洲市の現状
泉谷市長は、昨年の地震や豪雨によって珠洲市が受けた被害について詳述しました。なんと1770世帯以上が全壊しており、これまでの住宅の約半数が公費解体されることになったとのことです。また、「黒瓦は珠洲の誇りであり宝」だとし、これを生かすためのプロジェクトに期待を寄せました。
リサイクルの観点
LIXILの羽賀氏は、同社の循環型低炭素アルミや廃プラスチックを用いたリサイクル技術について語りました。ただ廃棄物を再利用するのではなく、地域に密着した黒瓦の新たな価値を生むことができるという点に感銘を受けたそうです。
デザインの未来
永山氏は、これまでのプロジェクトの中でリユースの大切さを説明し、特に今後活用予定の建築物への利用計画についても触れました。特に2025年の大阪万博では、黒瓦の新たなデザインが登場する予定です。
現地ツアーの実施
発表会の後、メディアは珠洲市内の黒瓦一時保管場所を見学しました。ここでは公費解体された家屋から集められた多くの瓦片が一時的に保管されており、そのプロセスが説明されました。瓦片を前にし、参加者たちは地域の文化と記憶の重要性を再確認しました。
まとめ
このプロジェクトは、強くしっかりとした地域を築くための重要な一歩です。能登の黒瓦が未来へと再生されることで、地域の人々の記憶と誇りが受け継がれることが期待されています。地域の魅力を感じながら、この挑戦の行く先を見守りたいものです。
各社の情報や詳細については、公式サイトをご覧ください。CACLは復興を支援し、LIXILは先進的な技術でそれを支え、永山祐子建築設計は美しいデザインを実現します。