DERTAが提唱する「共創コミュニティ・フレームワーク」:新潟発、持続可能な価値創造の羅針盤
デジタル技術の進化と共に社会課題が複雑化する現代において、企業、自治体、地域団体など多様な主体が協働し、新たな価値を生み出す「共創」のアプローチが不可欠となっています。しかし、「集まれば何かが起こるだろう」という楽観的な期待だけで場を立ち上げてしまうケースも少なくありません。その結果、目的が曖昧になり、成果が可視化されず、運営が属人化し、対話が目的化してしまうといった「機能不全」に陥ることが多々あります。これらの課題は、共創プロセスが「構造化されていない」ことに起因しています。共創は「偶発性」や「人間関係の変化」を内包するため、ある種の「揺らぎ」を許容する設計が求められますが、その揺らぎを育て、具体的な成果へと繋げるためには、目的・価値・仕組みを明確にし、運営フェーズごとに立ち返る「構造=フレーム」が不可欠なのです。
この深刻な課題に対し、「Update Local」をミッションに掲げる新潟県の株式会社DERTAは、2025年5月29日、企業・自治体・地域団体が「共創」の場を持続可能に運営するための実践ツール、「共創コミュニティ・フレームワーク」を公開しました。これは、共創が持つ曖昧さを抱えながらも、現場で確実に機能させ、社会的価値と経済的価値の両立を実現するための「設計図」です。組織、地域、プロジェクトの垣根を越え、「本質的な共創を“続ける”ための道しるべ」として、多様な現場での活用が期待されています。
本フレームワークは、コミュニティの発展を「設計(コミュニティデザイン)」「運用(コミュニティマネジメント)」「再設計」という3つの段階で捉え、これらをループとして繰り返す「コミュニティライフサイクル」として定義しています。コミュニティが長期的に価値を生み出し続けるためには、「コミュニティデザイン」が「なぜ、どこへ向かうか」という方向性を示し、「コミュニティマネジメント」が「どうやって」を日々実行し、その結果をデザインにフィードバックしてビジョンや仕組みを更新する、この循環が不可欠です。この往復運動こそが、社会的価値と経済的価値を同時に拡大させる原動力となります。
この実践的な「設計図」は、以下のような課題を持つ方々に特に推奨されます。
「共創」の場や「コミュニティ」の立ち上げに着手したいが、具体的な手順や社内外への説明に使える設計図を必要としているプロジェクト担当者。
既存の活動を見直し、持続可能な場づくりを目指す組織開発・カルチャー醸成の担当者。
地域社会との関わりや共創的な事業開発を模索する、サステナビリティ担当者や経営層。
現状の活動がマンネリ化し、共創の視点から再構築を試みたい組織内リーダーや変革推進者。
* コミュニティ運営に悩み、役割やスキル、場づくりの知見を体系的に学び直したい実務担当者。
「コミュニティフレームワーク」は、共創の場やコミュニティの立ち上げ・運営に関わる人々が、その存在意義、メンバーへの提供価値、そしてコンテンツや関係性のあり方を明確に言語化し、共有するためのツールです。資料には、共創コミュニティの定義、組成ライフサイクル、具体的なフレームワーク(デザインとマネジメントの視点)、実践方法、そして醸成に必要なスキルまで、多角的な情報が盛り込まれています。
本フレームワークは、DERTAのウェブサイトからアンケートに回答することでダウンロードが可能です。利用にあたっては、営利目的での利用、改変、派生物の作成、第三者への再配布・共有は禁止されています。ただし、出典を明記すれば、教育・自治体・自社コミュニティなどの非営利活動に限りご利用いただけます。商用利用を希望する場合は、別途DERTAへの問い合わせが必要です。
新潟市に拠点を置く株式会社DERTAは、「Update Local」をミッションに掲げ、デジタル、デザイン、そして起業家・クリエイターが所属する「共創コミュニティ」の力を活用し、地方企業や地域に根ざした課題解決に取り組んでいます。今回のフレームワーク公開は、地域の営みと新たな挑戦が共創する社会を目指す同社の強い姿勢を示しており、全国の地域や組織に新たな価値創造の機会をもたらすことでしょう。