中途入社者の定着率に関する実態調査
エン・ジャパン株式会社が実施した「中途入社者の定着」に関する調査が明らかにしたいくつかの傾向が、企業側にとって重要な示唆を与えています。この調査は、451社からの回答を基にしており、中途入社者の定着率やその要因について分析を行いました。
定着率:業種による顕著な差
まず、調査の結果、直近3年間の中途入社者の定着率において、2割の企業が「100%」を達成していることが分かりました。特に、商社業界での定着率が最も高く、一方でコンサルティング業界が最も低いことが顕著でした。この差は、商社が提供する給与や福利厚生、明確なキャリアパスが定着を支える要因となっていることを示しています。
退職の危険期
中途入社者が退職に至る可能性が高い時期としては、「1ヵ月以上3ヵ月未満」が最多でした。この時期に退職に繋がる要因としては、業種による差が見られ、特に運輸・物流・倉庫業界では多くの企業が短期的な離職に直面しています。中小企業と比較すると、大企業でこの割合が高まる傾向も見られます。
企業の取り組み
調査によると、今後6割の企業が中途入社者の定着率向上に注力する意向を示しています。定着率を高めるために実施されている具体策では、入社前の社内見学や社員面談が最も多く、効果的なギャップ対策として期待されています。また、直属の上司によるフォローアップや研修・スキルアップを提供する企業も増えてきています。
定着率向上に向けた具体的な対策
1.
ギャップ(Gap)への対策
- 期待と現実の乖離を防ぐためには、入社前の情報提供が重要です。求人情報や面接で職場のリアリティを正直に伝えることが、後のギャップを解消する鍵となります。
2.
関係構築(Relation)
- 特に直属の上司との関係が、入社者の定着に大きく影響を与えます。定期的なフォローアップや相談の時間を設けることで、中途入社者が信頼関係を構築できるサポートが必要です。
3.
キャパシティ(Capacity)の調整
- 仕事の量や内容が適切でない場合、ストレスや不安が増しやすいです。業務量の段階的な調整を行うことで、適切なサポートが可能になるでしょう。
調査結果のまとめ
この調査結果は、中途入社者の職場定着に関わる重要な指標を提供しており、企業がどのように対応していくかが問われています。特に、働きやすい環境づくりやコミュニケーションの活性化が企業の持続的な発展に寄与することを示しています。今後の企業の取り組みにも注目が集まります。