EC利用実態調査2024:生活者の買い物行動はどう変わった?
株式会社いつもが実施した「生活者のEC利用実態調査2024」レポートが公開されました。本調査は、ライフスタイルの変化に伴い進化を続ける「買い物」のあり方を、実店舗とECの利用状況という観点から分析しています。10〜70代の男女1,675人を対象とした調査結果から、生活者の購買行動や意識、ECに対する期待などが明らかになりました。
EC利用はもはや当たり前?
調査結果によると、EC利用の頻度は月に1〜3回程度という人が約半数、週に1回以上利用する人は約2割にのぼりました。ECでのギフト購入や購入後のレビュー投稿など、積極的にECを活用する層は利用頻度も高い傾向にあります。
また、EC利用金額は月10,000円未満が全体の約7割を占めていますが、ギフト利用者やレビュー投稿者は平均購入金額も高いことがわかりました。これは、EC利用に慣れ親しんでいる層は、より積極的に商品を購入していることを示唆しています。
商品認知から購入までのプロセス
商品の認知経路としては、テレビCMや実店舗での情報収集が依然として多いですが、ECサイトの「あなたへのおすすめ商品」から認知する人も約2割いました。特に、購入後レビュー投稿者はSNSでの認知が多いという結果も出ており、情報収集の多様化が顕著です。
ECでの購入を決める要因としては、価格や配送料といったコスト面に加え、商品説明の分かりやすさやレビュー、セキュリティなど、安心して購入できる環境が重要視されています。
さらに、欲しい商品を検索した際に表示される「あなたへのおすすめ商品」や「関連の商品」を見て、他の商品を購入した経験は47.4%と高い結果に。特に20代と30代では半数以上の人が、おすすめ商品や関連商品からの購入経験があるという結果が出ており、ECサイトのレコメンド機能が購買行動に大きな影響を与えていることが分かります。
実店舗とECの連携:購買行動の融合
実店舗で購入した商品をECで再購入したことがある人は全体の約半数と、オフラインとオンラインの購買行動が融合していることが見て取れます。特に、ギフト利用者やレビュー投稿者など、ECを頻繁に利用する層は、実店舗からECへのチャネルスイッチでのリピートも積極的な傾向にあります。
また、商品情報やレビューを見るためにECサイトを利用している人は全体の約6割にのぼり、ECは単なる「買う場」以上の役割を担っていることがわかります。EC利用をしていない人でも、実店舗での購入時の参考にする割合が3割以上という結果からも、ECは買い物をする上での重要な情報源となっていることが分かります。
EC購入後の行動:顧客満足度とエンゲージメント
EC購入後の行動として、レビュー投稿の理由は「クーポンがもらえるため」が最も多く、次に「商品に満足したため」という結果が出ています。これは、顧客満足度を高める取り組みとインセンティブによってレビュー投稿を増やすことが重要であることを示唆しています。
一方で、ネガティブなレビューは1~2割の人が投稿と低く、反対に貴重といえます。顧客の声を真摯に受け止め、改善につなげることで、より良いサービスを提供できるでしょう。
EC購入後に買い物体験をSNSでシェアしたり、家族や友人に話す人は44.3%と、ECでの購買体験は口コミやSNSを通じて拡散していく可能性も秘めています。
今後の展望
株式会社いつもは、今回の調査結果を基に、EC領域の各プロフェッショナルが生活者のEC体験を考察したレポートを定期発信していく予定です。これらのレポートが、EC事業者の生活者ニーズの理解を深め、マーケティング戦略立案やCX設計の一助となることを目指しています。
今回の調査は、EC市場の現状と今後の動向を把握する上で重要な情報を提供しています。企業は、生活者のニーズを深く理解し、より良いサービスを提供することで、顧客満足度を高め、EC事業の成長につなげていくことが求められます。