タイにおける内視鏡AIの認可
株式会社AIメディカルサービスが開発した内視鏡画像診断支援AIが、タイの医療機器として正式に認可され、同国の医療現場に革新をもたらします。2025年6月26日、タイ保健省食品医薬品局(タイFDA)から認可を取得したのは、AIを活用して上部消化管領域の腫瘍性・非腫瘍性を判定するシステム「Endoscopic image diagnosis support software – gastroAI-model G」です。この認可取得は、タイにおいて鑑別機能を備えた胃がん診断支援AIとしては初めての事例です。
胃がんの早期発見の重要性
胃がんは全世界で年間約100万人が罹患し、約60万人が亡くなっています。がんによる死亡者数の中では第5位にランクされるほど深刻な問題です。がんは早期発見が鍵であり、ステージⅠで発見されると95%以上の確率で治療が可能ですが、進行すると生存率は大きく低下します。こうした現実を踏まえ、早期診断の重要性が増しているのです。実際、早期の胃がんは見逃されることが多く、約4.5%から25.8%が診断を逃れていることが指摘されています。
特に、タイにおける胃がんのデータは厳しい現実を示しています。罹患した人の75%以上が死亡しており、この大半は病気が進行した状態で発見されています。経済成長とともに高齢化が進むタイでは、がん対策が急務となっています。国連の予測によれば、タイの人口はピークを迎え、その後には減少するとされていますが、高齢者におけるがん、特に胃がんの対策がますます重要になることが予想されます。
AIによる胃がん診断支援システムの機能
「Endoscopic image diagnosis support software – gastroAI-model G」は、AI技術を駆使して内視鏡映像を解析し、病変候補画像を腫瘍性(腺腫または腺癌)か、非腫瘍性または腫瘍性の可能性が低いと判定します。腫瘍性の場合は信頼度を数値で表示し、その位置を強調表示するための矩形を重畳します。このシステムは、医療スタッフが迅速かつ正確に診断を行うための強力なツールとなります。
認可番号は68-2-2-2-0006282です。AIメディカルサービスは「世界の患者を救う」というミッションを掲げ、内視鏡医療技術が最も進んでいる日本のデータを利用してその開発を進めています。これにより、製品の研究開発を行い、早期に医療現場へ届けることを目指しています。
まとめ
今回の認可により、AIメディカルサービスの内視鏡AIがタイの医療現場に導入されることになり、胃がんの早期発見と治療に寄与することが期待されています。このシステムは内視鏡専門医不足の解消を図り、多くの患者の命を救うための大きな一歩となるでしょう。AI技術の進展とともに、医療現場がどのように変わっていくのか、今後の展開に注目が集まります。