宇宙初期の星形成
2026-06-16 09:22:07

アルマ望遠鏡が捉えた宇宙初期の星形成の新たな証拠

アルマ望遠鏡が捉えた宇宙初期の星形成の新たな証拠



千葉大学先進科学センターの札本佳伸特任助教や大栗真宗教授らを含む国際研究チームが、アルマ望遠鏡を活用して宇宙誕生から約7億から8億年後に形成された銀河4天体から中性酸素が発する輝線、「[O I] 145μm」を発見しました。これは、星形成銀河における冷たい中性ガスの直接的な信号としては、これまでで最も遠方のものです。中性ガスは、星の形成に不可欠な材料ですが、これまで可視光線や近赤外線の望遠鏡では捕らえにくいものでした。

研究の背景



恒星は銀河内にある水素原子や分子からなる中性ガスが集まって冷えて形成されます。そのため、初期宇宙における銀河の生成過程を解明するためには、中性ガスの性質を調査することが重要です。特に、近年成果を上げているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)などの可視・近赤外線望遠鏡では、電離ガスや星そのものは観測できるものの、冷たい中性ガスを直接観測することは困難でした。

研究成果の概要



今回の研究チームは、初期宇宙に存在する4つの星形成銀河、すなわちREBELS-38、A1689-zD1、REBELS-25、REBELS-18から、中性ガスの存在を示す輝線を検出。これらの銀河は、現在のスターバースト銀河と類似する高密度の中性ガスを持っていることが明らかになりました。中性酸素の輝線は、これらの銀河における星形成の現場をより深く理解するための新たな道を提供するものです。また、JWSTを用いた酸素組成比の測定と組み合わせたことで、中性ガスの質量も直接的に推定することに成功しました。

さらに、広く使用されている輝線「[C II] 158μm」についても、今までの観測ではその起源が曖昧でしたが、今回の研究により、その主要な放射源は中性ガスであることが初めて確認されました。この発見により、これまで蓄積してきた[C II]の観測データを中性ガスの研究に役立てることができるようになりました。

今後の展望



今回の発見は、初期宇宙の銀河において中性酸素の輝線が効果的に観測できることを示唆するものであり、さらなる星の材料研究へと繋がることを期待しています。今後は、より多くの銀河を対象に観測を行い、宇宙の起源における星形成の全貌を把握することを目指します。また、JWSTや他の望遠鏡との組み合わせによって、多角的な視点から銀河の進化を探ることができると期待されています。

研究成果は、2026年6月15日に学術誌『Astrophysical Journal』に発表されました。この成果は、科学研究費助成事業による支援を受けたものです。

まとめ



中性酸素の輝線を初めて捉えたこの研究は、宇宙初期の星形成のメカニズムを理解するための重要なステップといえます。アルマ望遠鏡の独自の観測能力を活かしたこの成果は、今後の宇宙研究に新たな洞察をもたらすでしょう。


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