2024年度 増収増益企業の分析
2024年度の増収増益企業数は14.2万社に達し、全体の32.2%を占めています。特に建設業が目立ち、公共工事や半導体関連の新設工場、都市の再開発がさらに業績を押し上げました。上記の要因から、増収増益率が10%以上の企業は全体の20.5%にのぼります。
地方の視点から見る増収増益
都道府県別に見ると、石川県と沖縄県が特に高い出現率を示しました。石川県は36.9%、沖縄県は35.3%で、これらの県では観光や災害復旧、さらには公共工事の影響が顕著でした。特に、石川県では約半数の企業が建設業に従事しており、災害復旧関連工事が好調でした。
沖縄県も観光業が良好で、大規模なテーマパークや宿泊施設の新設が相次いでいます。これにより、地域経済は活性化し、増収増益の兆しが見られました。特に、観光業においては、ポストコロナでインバウンド需要が進む中で、経済の回復が期待されています。
経済全体の明るい兆しと課題
一方、2024年度は日経平均株価や平均賃上げ率が過去最高を記録したものの、原油価格や円安、人手不足などの課題も浮上しました。これにより、特に中小企業は持続的な成長を模索することが求められています。
増収増益企業の絶対数は全体の14万2,817社と増加しましたが、減収減益の企業も存在しており、全体の26.2%を占めました。この数字は経済全体の成長が均一ではないことを示しています。
業種別の詳細
増収増益企業を業種別に見ると、建設業が最も多く、次いでサービス業、卸売業が続きました。また、主要業種である建設業は、特に大都市圏での再開発や新設工事が好調で、全体の33.5%を占めています。
一方で、医療業や出版業は出現率が低く、価格転嫁が難しいことから業績に悩む企業が多いと見られます。これは各業種間での成長格差を浮き彫りにする結果となっています。
2025年度を見据えて
2025年度については、トランプ関税や国際情勢の不安定さが影響を与える可能性が高く、企業業績に新たな課題が浮上するでしょう。特に、業界全体のデジタルトランスフォーメーションや新たな中堅企業の育成が鍵となることが予測されています。政府も「中堅企業元年」として、中堅企業の支援を強化し、地域経済の活性化を図る方針です。
来る2025年度は、消費者の行動変化やデジタル競争の激化を踏まえた新戦略が求められるでしょう。中小企業の中にも、自らの環境変化に柔軟に適応し、成長を目指す企業が増えていくことが期待されます。これにより、日本全体の経済の持続的な成長と競争力強化を図っていく必要があるのです。