ビルシステムセキュリティ強化の新たな指針
技術研究組合制御システムセキュリティセンター(CSSC)は、ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策について、新たに「対策カタログ第2版」を公開しました。この対策カタログは、初版が発表された2022年11月以来、さらなる進展を踏まえた重要な改訂版となっています。
サイバーセキュリティの重要性
近年、ビルシステムのサイバーセキュリティへの関心が高まっています。その背景には、テクノロジーの発展に伴いサイバー攻撃のリスクが増大していることがあります。特に、ビルの運営には多くのIoT機器やシステムが関与しており、これらが攻撃の標的とされることが懸念されています。
生成AI技術の発展とともに、ビル管理はますます効率化されていますが、それに伴う脆弱性も無視できなくなっています。2023年4月には経済産業省が「ビルガイドライン第2版」を発表し、インシデントレスポンスに関する項目が新たに追加されました。これにより、ユーザー企業やベンダー企業が共通の認識を持つことへ期待が寄せられています。
対策カタログ第2版の内容
対策カタログ第2版では、ビルガイドラインに示されたリスク源に基づき、特に重要とされた9つの対策項目が詳細に記載されています。これには、資産管理や脆弱性管理、ネットワーク分離、不正接続防止、ログイン管理、ログ管理・ログ分析、異常検知、バックアップ、体制構築が含まれます。
各項目には「対策の考え方」と「具体的な実施内容」が示されており、ビルシステムの特性に配慮したインシデントレスポンスへの考慮点も明記されています。これにより、関係者が一貫したアプローチを取ることができるようになります。
配布方法と対象
今回の対策カタログは、ビルシステムに関わる企業や大学研究機関などの関係者に限定して配布されます。配布を希望する方は、特設の申請フォームに必要事項を記入して申し込む必要があります。この際、申請内容はCSSCにより確認され、配布の可否が判断されるため、注意が必要です。
提供されたカタログは「TLP:GREEN」として限定公開され、コミュニティ内での共有が許可されます。なお、無断転載や翻案は禁止されているため、利用には許諾を得る必要があります。
今後の期待
この対策カタログの公開により、ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策が強化されることが期待されています。特に、関係者が共通の理解を持つことで、より効果的なセキュリティ対策が実現するでしょう。ビルシステムに係る法令やガイドラインが複雑な中で、こうした明確な指針は貴重な指導となります。
お問い合わせは、技術研究組合制御システムセキュリティセンター(TEL: 022-353-6751、メール:
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