鳥羽商船高専「鳥羽丸」三代目、30年の航海に幕を閉じる
三重県鳥羽市にある鳥羽商船高等専門学校(以下、鳥羽商船高専)の練習船「鳥羽丸」三代目が、令和6年6月14日に退役しました。
1994年の建造から約30年、多くの学生の航海実習や研究航海を支えてきた「鳥羽丸」三代目。その功績を称え、退役セレモニーが盛大に開催されました。
「母のような存在」- 学生や教職員から感謝の言葉が溢れる
退役セレモニーでは、長年「鳥羽丸」三代目に携わってきた学生や教職員から、感謝の言葉が次々と述べられました。
「鳥羽丸は私たちを育ててくれた母のような存在です」「船員養成だけでなく、研究や広報活動にも活躍し、いつも身近に感じられる存在でした」「私たちの青春はすべて鳥羽丸に見守られてきました」「コンパクトな船体ながら、大洋航海でも安心して航行できる素晴らしい練習船でした」「学生として実習に参加し、教員として指導できたことは感慨深いです」「基本を学ぶマザーシップであり、多くの思い出が詰まった船でした」
これらの言葉からもわかるように、「鳥羽丸」三代目は、鳥羽商船高専の学生や教職員にとって、単なる練習船以上の存在だったことが伝わってきます。
学生有志による「最後の伊勢湾一周航海」
退役セレモニー後には、学生有志による「最後の伊勢湾一周航海」が実施されました。
学生たちは、船長や機関長など、それぞれの役割を示すオリジナルの肩章を着用し、「鳥羽丸」三代目を操縦しました。思い出深い伊勢湾を航海し、鳥羽商船高専の桟橋のある鳥羽市・池の浦に帰港。
その後、船員らによって「鳥羽丸」三代目のファンネルマークが取り外され、長い航海の幕が閉じられました。
新しい「鳥羽丸」への期待
鳥羽商船高専では現在、新しい練習船を建造中です。2024年10月に命名・進水式、2025年3月に引き渡し予定で、令和7年度から新練習船による航海実習が再開される予定です。
新しい「鳥羽丸」も、学生たちの成長を支え、日本の海運を担う人材育成に貢献してくれることでしょう。
鳥羽商船高専について
鳥羽商船高専は、明治8年(1875年)に創基された、日本最古の商船系高等専門学校です。
船員を養成する商船学科とエンジニアを養成する情報機械システム工学科の2学科があり、科学的思考力と高度な知識・技術を習得した人材を育成しています。
地域社会から世界まで、幅広く活躍できる技術者を輩出する鳥羽商船高専は、今後も日本の海運を牽引していく存在であり続けるでしょう。