若者の情報収集の現状
紀尾井町戦略研究所(KSI)による最新の調査が明らかにしたところ、20代の若者が情報を得る手段として、紙の新聞に依存する割合はわずか1割に達するかどうかという結果が出ました。この調査は、全国の18歳以上の男女1,000人を対象にしたものです。
調査の背景
近年、デジタルメディアの進化が加速し、特にSNSの普及は情報収集のスタイルを大きく変えつつあります。昨年の兵庫県知事選ではSNS上でのフェイクニュースの拡散が問題視され、選挙中のSNS規制が議論の的となりました。このような中、KSIはオンライン調査を通じて、市民の情報源や信頼性の意識を探ることを目的としました。
調査の主な結果
調査の結果、最も多くの回答者が利用している情報収集手段は「検索エンジン」で78.3%を占め、次いで「メール」が74.5%、そして「ニュース」が72.5%という結果でした。また、70代以上の層では紙の新聞を利用する割合が高かったのに対し、20代では電子メディアの利用が圧倒的に優位です。
特に注目すべきは、20代の回答者の多くが、テレビやSNSから情報を得ると答えている点です。この層の情報収集の方法は、従来のメディア型からデジタル型へと移行しています。具体的には、テレビの利用率は約40%、SNSも同程度で、紙の新聞はほぼ横ばいの1割程度でした。
偽情報に対する意識
また、偽情報に関する自信については、「ない」とする回答が46.5%、「ある」との回答が43%という結果が示されました。このことから、若者たちが情報を収集する際の注意力や不安感がうかがえます。
SNS規制への賛否
さらに、選挙中のSNS利用規制に対する姿勢を尋ねたところ、75.7%の回答者が「規制すべき」と答えており、若者たちがSNSによる情報拡散のリスクを認識していることがわかります。
信頼できるメディアの選択
調査では、信頼できるメディアとして「新聞」が40.3%、次いで「テレビ」が35.7%と続きました。しかし、全体で見た場合、信頼できるメディアはないとする回答も36.8%に上りました。特に、支持政党別に見ると、国民民主党の支持層ではSNSの信頼性が高く評価される傾向が顕著でした。
子どもとSNSの利用
調査において、子どものSNS利用についての意見も集められ、「禁止する必要はないが、何らかの規制は必要」という声が64.5%を占める結果となりました。これは、SNS利用がもたらす影響についての省察を求める傾向を反映しているといえるでしょう。
まとめ
このような調査結果は、社会全体の情報環境が急速に変化する中で、20代の若者がどのように情報を得ているのか、またそれに対する意識がどう変化しているのかを示しています。これからの情報収集のスタイルは、ますますデジタル化が進むことが予想され、メディアに対して求められるリテラシーも高まっていくでしょう。特に、正確な情報の選別や偽情報への対策が重要な課題となっています。
この調査を通じて、紀尾井町戦略研究所は若者のニーズや環境の変化に対する理解を深め、今後のサービスや政策提言に役立てていくことが求められています。