東大キャンパスで五感を探求する「センサリーツアー」開催
2025年5月30日と31日に開催される「東京大学駒場リサーチキャンパス公開2025」において、例年以上に注目を集める企画が実施されます。それは、感覚過敏研究所が企画・運営を手がける「センサリーツアー〜五感を使ってキャンパスを探検しよう〜」です。先端科学技術研究センターという最先端の研究拠点で行われるこのユニークな取り組みは、来場者に新たな視点と深い学びをもたらすことでしょう。
五感の再発見を促す画期的なツアー体験
「センサリーツアー」の大きな魅力は、私たちが普段意識することのない日常の感覚に焦点を当てる点にあります。参加者は、オープンキャンパス中の先端科学技術研究センターの建物内や広場を、五感をフル活用しながら散策します。単に見て回るだけでなく、照度計や騒音計といった道具を使い、「眩しさとは何か?」「静けさとはどんな感覚?」といった根源的な問いに向き合うワークを通じて、自身の感覚や周囲の環境について深く考える機会が提供されます。このツアーを案内するのは、感覚過敏研究所所長の加藤路瑛氏。若き起業家でありながら、感覚過敏の課題解決に情熱を傾ける彼の知見と視点から、参加者は五感の奥深さに触れることができるでしょう。
このツアーは、事前の申し込みが不要で、年齢も問われません。インクルーシブな社会の実現に関心のある方、先端研究に触れてみたい方、そして好奇心旺盛なお子様まで、誰もが気軽に、そして安心して参加できるよう設計されています。普段の生活では気づかない、光や音、触感といった感覚の多様性とその重要性を体感することで、新たな発見や共感が生まれるはずです。
心と体の休息を促す「カームダウン・クールダウンスペース」の常設
今回の東京大学駒場リサーチキャンパス公開2025を機に、先端科学技術研究センター内に「カームダウン・クールダウンスペース」が常設されることにも注目です。このスペースは、感覚過敏などで光や音の刺激に敏感な方々が、疲れを感じたり、パニック状態になりそうになった際に、心身を落ち着かせ、休息を取ることを目的としています。発達障害、知的障害、認知症など、多様な背景を持つ人々が安心して過ごせる場を提供することで、よりインクルーシブなキャンパス環境の実現を目指しています。
センサリーツアーでは、この常設されるカームダウンスペースについての説明や、実際にその空間を体験する機会も設けられています。この取り組みは、単なる一時的なイベントに留まらず、大学という公共性の高い場所が、多様な人々のニーズに応えるための具体的な一歩を踏み出したことを示しています。誰もが自分らしくいられる場所が、社会のあらゆる場面に広がっていく未来への希望を感じさせます。
若きビジョナリー、加藤路瑛氏が拓く「今をあきらめない社会」
この画期的な取り組みを主導する感覚過敏研究所は、2020年1月に発足し、感覚過敏という課題の解決に向けて多岐にわたる活動を展開しています。啓発活動から商品・サービスの企画・開発・販売、そして研究まで、包括的なアプローチで社会に貢献しています。特に、感覚過敏を持つ人々のニーズに応えるアパレルブランド「KANKAKU FACTORY」も手がけるなど、その活動は広範囲に及びます。
感覚過敏とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった五感が過敏になり、日常生活に困難を抱える状態を指します。発達障害のある方々に多く見られる症状ですが、うつ病や自律神経失調症、認知症、脳卒中など、様々な病気の症状として現れることもあります。社会全体でこの状態への理解を深め、適切な配慮を提供することが、より豊かな共生社会を築く上で不可欠です。
そして、その最前線で活動する加藤路瑛氏は、2006年生まれの若干18歳。2018年には12歳で株式会社クリスタルロードを設立し、若くして社会貢献の道を選びました。彼が目指すのは、「年齢、お金、病気、障害、性別、国籍、常識などを理由に『今』をあきらめない社会」の実現です。Forbes Japan 30 U30に選出されるなど、その活動は国内外で高く評価されています。彼のリードのもと、感覚過敏研究所は、単なる課題解決に留まらない、社会全体の意識変革を促す存在となっています。
イベント概要と参加案内
東京大学駒場リサーチキャンパス公開2025は、普段は足を踏み入れることのできない研究室の内部を見学したり、世界トップクラスの研究者たちによる最新の研究成果に直接触れることができる、年に一度の貴重な機会です。企業や他の研究機関の関係者、近隣住民、そして未来の科学者を目指す小中高生まで、幅広い層が訪れる人気のイベントです。
今年の公開は現地での対面イベントを主としつつ、一部オンライン配信も予定されています。スムーズな入場のためには、事前の来場登録が推奨されています。ぜひこの機会に、最先端の科学と、それを支えるインクルーシブな取り組みの両方を体験しに、東京大学駒場リサーチキャンパスへ足を運んでみてはいかがでしょうか。
センサリーツアー開催日時:
2025年5月31日(土) 14:00〜14:45
集合場所:
東京大学先端科学技術研究センター4号館1階 カームダウンスペース前
参加費:
無料(予約不要)
東京大学駒場リサーチキャンパス公開2025 全体開催日時:
2025年5月30日(金)・31日(土) 各日10:00〜17:00
開催場所:
東京大学駒場リサーチキャンパス(駒場IIキャンパス)
〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1
最新の科学技術に触れながら、五感と社会の多様性について深く考えることができるこの機会を、ぜひお見逃しなく。