心停止の地域差分析
2025-07-28 16:21:00

新潟医療福祉大学が解明!交通事故心停止の地域差と生存率の実態

新潟医療福祉大学の新たな発見



新潟医療福祉大学の救急救命学科に所属する研究者たちが行った新たな研究が、交通事故による心停止の生存率に地域差がある実態を明らかにしました。この研究は、全国のデータをもとに、交通事故に関連する9,525件の院外心停止症例の1ヶ月生存率を都道府県ごとに分析したものです。研究チームには、安達哲浩講師、竹井豊教授、外山元講師、堀英治大学院生、大松健太郎准教授が名を連ねています。

研究の内容



この全国規模の観察研究では、救急搬送の記録やウツタイン様式に基づく心停止データが統合され、患者の特徴や救急活動、医療資源との関連が詳細に解析されました。その結果、都道府県ごとの生存率には最大で10倍の差(0~10.9%)が見られることが判明しました。

生存率の高い地域では、三次救急医療機関への搬送割合が62%に達し、医師や高度な医療施設も多く存在する傾向がありました。逆に生存率の低い地域では、救急救命士による高度気道確保や薬剤投与の実施率が高いことも明らかになりました。さらに、目撃される心停止および市民による心肺蘇生、救命救急センターへの搬送が生存率向上に寄与することも確認されました。

研究の意義と今後の課題



これまでの研究は、主に患者の年齢や心電図波形、あるいは市民の対応といった個別の特性に重点が置かれていました。しかし、今回の研究は“どこで事故が起きたのか”という地域的要因が生存率に及ぼす影響を初めて実証しました。これにより、地域差が生存率に影響を与える新たな視点が生まれています。

研究チームは、今後の施策として以下の3点を提言しています。
1. 救命救急センターへの搬送体制の整備や広域搬送の推進
2. 地域特性に応じた救急医療体制の強化とトリアージ基準の最適化
3. 一次救命教育や通報体制の強化による地域住民の意識向上

安達講師は、交通事故による心停止が発生した場合、地域ごとの医療アクセスの格差が生存に大きく影響しているという新たな見解を示しました。彼は、どの地域においても適切な救命処置が受けられる体制が急務であると強調しました。また、学生たちにもこの現実を踏まえ、現場で必要な判断力と行動力を身につけてほしいと願っています。

原論文情報


  • - タイトル: Regional disparities in 1-month survival following traffic accident-related out-of-hospital cardiac arrest in Japan: A nationwide observational study
  • - 著者: Tetsuhiro Adachi, Yutaka Takei, Gen Toyama, Eiji Hori, Kentaro Omatsu
  • - 掲載誌: American Journal of Emergency Medicine, Vol.96, pp.249–255, 2025
  • - DOI: https://doi.org/10.1016/j.ajem.2025.07.002

研究者情報


  • - 所属: 新潟医療福祉大学救急救命学科
  • - 講師: 安達哲浩

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