細川護熙の創作四半世紀
2024年9月5日、世界文化社は『細川護熙自選作品集 但造作莫 私の作陶、書そして画』を刊行する。この作品集は、60歳から創作活動を始めた細川護熙氏が25年の歳月を経て、自らの作品とその背後にある思いを紡いだエッセイを収めたものである。細川氏は政界を引退後、豊かな創造性を形にするための道を歩み続けてきた。
創作の出発点「茶陶」への挑戦
実は焼物に対しては興味が薄かったという細川氏は、友人の陶芸家の姿を目の当たりにし、次第に心惹かれた。「面白そうだ」と感じた彼は、押しかけ弟子として陶芸の基本を学ぶこととなった。自身の念願である茶陶の制作へと意欲を燃やす中で、長次郎や光悦の名作に憧れ、研究を重ねる日々を送っていた。
細川氏は、韓国の高麗焼や唐津焼、日本で人気の志野や織部、また楽焼に触れることで、独自のスタイルを確立していく過程を描いている。彼は「茶盌は私の主役」と語る通り、茶陶を軸にした作品づくりに情熱を注いでいた。その手がけた数々の作品は、彼自身の成長を示す図鑑のごとく、見る者に強い印象を与える。
多彩な作品の数々「書」と「画」
茶陶だけにとどまらず、細川氏は幅広い範囲で作品を創作してきた。書画についても、若い頃から強い関心を抱きつつ自らの「悪筆」にためらいを感じていた過去を明かす。水墨画や水彩画から油彩に至るまで、彼の作品における幅広さは目を見張るものがある。最近では新境地である漆絵にも挑戦し、さらに表現の幅を広げている。
「毎日を一生懸命に、一日一生涯のつもりで生きる」という彼の日々の思いが、創作活動にも色濃く表れている。四半世紀にわたる彼の創作の軌跡は、読者に深い感動を与えるはずだ。そして、今彼が「残生」についてどのように感じているのか、その内なる思いもまた全編を通して垣間見ることができる。
著者細川護熙のプロフィール
細川護熙氏(ホソカワ モリヒロ)は、昭和13年東京に生まれ、上智大学法学部を卒業。新聞記者を経て熊本県知事などを歴任し、92年には第79代内閣総理大臣に就任。その後60歳で政界を引退し、神奈川県湯河原で創作活動をスタートさせた。陶芸をはじめ、書、漆絵など、多岐にわたる表現活動を続けている。著書には『不東庵日常』(小学館)があり、公益財団法人永青文庫の理事も務めている。
刊行情報
- - 書籍名: 『細川護熙自選作品集 但造作莫 私の作陶、書そして画』
- - 著者: 細川護熙、写真: 藤森 武
- - 発売日: 2024年9月5日(木)
- - 定価: 3,960円(税込)
- - 仕様: B5変型判208ページ
- - 発行: 株式会社世界文化社
公式サイト:
世界文化社
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