イチジクの当たり年、2025年の豊作に期待
日本の夏の味覚として愛されるイチジクが、2025年には特別な当たり年となることが予想されています。株式会社農業総合研究所(和歌山県和歌山市)は、全国のスーパーマーケットで展開する「農家の直売所」のデータを基に、イチジクの収穫状況と価格動向を調査しました。少雨による好条件が続く中、品質は向上し、甘味も凝縮されたイチジクが続々と市場に出回る見込みです。
幸運な少雨と品質向上
2023年から2025年にかけて、特に西日本では少雨傾向が続いており、このことがイチジクの実割れや病気のリスクを減少させています。紀の川市の生産者、林大輔さんは「潤沢な水分が不足したおかげで、しっかりとした味わいのイチジクが採れている」と嬉しそうに語ります。このような自然の恵みにより、イチジクの平均単価も上昇を続けています。
価格の上昇と市場の期待
農業総合研究所のデータによると、2023年8月のイチジクの平均単価は411円から2024年8月には442円、2025年8月には489円に上昇する見込みです。これにより、過去2年間でほぼ20%も価格が上昇し、イチジク市場は過去最高の水準に達しています。特に人気を集めている品種の一つが「桝井ドーフィン」で、多くの生産者がこれを栽培しています。
「桝井ドーフィン」の魅力
林さんが生産している「桝井ドーフィン」は、安定した品質と収量で知られ、多くの生産者に支持されています。他の高糖度品種との競争が激しい中でも、林さんはこの品種に絞ることで品質と供給の安定を図っています。「安定した供給ができる環境を整えることが重要だ」と彼は述べており、消費者に毎年変わらぬ美味しさを届けるために努力しています。
日々の努力が支える安定供給
林さんの農園では、家族全員が協力して200本のイチジクの木を管理しています。彼らは早朝に収穫を行い、その日の午前中には出荷を完了させるという効率的な作業を心掛けています。また、適切な肥料や水やりを行うことで、樹勢を維持し、猛暑や乾燥に対応しています。しかし、近年は輸送費や資材費が約1.5倍に増加しており、コスト負担が一層重くなっています。それでも、林さんたちは工夫を重ね、消費者に安定した品質のイチジクを提供し続けています。
2025年のイチジクに期待
今年はイチジクの出荷が本格化しており、甘味の強いイチジクが豊作となる見込みです。このように、産地や市場、消費者が満足できる品質のイチジクが実現できるのも、生産者たちの努力の賜物です。安定した供給体制に加え、高騰するコストの影響を最小限に抑えつつ品質を守る生産者たちがいるからこそ、イチジクは日常的に楽しめる果物として支えられています。
おわりに
「全国の生産者が協力し、安定した農産物の供給を目指す活動が今後更に重要となります。私たちの取り組みが持続可能な農業の実現につながることを期待しています」と林さんは今後の展望についても熱く語ります。2025年のイチジクが多くの人々に愛されることを願っています。