プラスチックを使わないペースト肥料の水稲栽培が進化!
三菱マヒンドラ農機株式会社が開発した新しいペースト肥料が、環境への配慮と水稲の生産性向上を実現しました。このペースト肥料は、マイクロプラスチック殻を含まず、作業性の向上も図られています。2022年の春から新潟県長岡市、岡山市、栃木県矢板市などで実施された実証試験では、ペースト肥料を利用した施肥法が、従来の粒状肥料に比べて食味や収穫量において優れることが確認されました。
実証試験の成果
実証試験では、ペースト一発肥料を用いた水稲の収穫量は、以下のような結果となりました。
- - 長岡市: 659kg/10アール
- - 岡山市: 590kg/10アール
- - 矢板市: 573kg/10アール
これらの数値は、令和4年度の県平均を上回り、11%から24%の増加が見込まれました。また、食味スコアはすべて「良」(80以上)という高評価を得ています。これにより、プラスチックの使用を避けつつも高品質な水稲の生産が可能であることが実証されました。
ペースト施肥のメリット
ペースト肥料は、苗を植えながら土の中に施肥する仕組みになっており、育成環境に応じて肥料を施します。これにより、追肥の必要性が減り、施肥の効率が向上します。また、このペースト肥料は土中で保持されやすく、流亡のリスクが低くなるため、肥料の使用量を約30%削減することができるのです。これまでの肥料流出による環境問題を軽減する効果も期待されています。
環境負荷の軽減と持続可能な農業
三菱マヒンドラ農機は、1974年に業界で初めてペースト側条施肥機を開発し、その後も環境負荷を低減するための農法に取り組んできました。近年、粒状肥料によるプラスチック被覆膜の流出問題が取り沙汰される中、ペースト施肥の導入は新たな解決策として注目されています。特に、農業における化学肥料の削減は、農業従事者と消費者両方にとって大きなメリットになります。
今後の展望
三菱マヒンドラ農機は、国の「みどりの食料システム戦略」に認定された田植え機の販売においても業界をリードしています。今後も環境への配慮を重視しつつ、生産効率の向上に寄与する農業技術の発展を目指しています。ペースト施肥に対応した田植え機は、4条から10条までの9機種がラインナップされており、多様な農場のニーズに応えられる体制が整っています。
これからの農業における持続可能性を高めるために、ペースト肥料のさらなる普及が期待されます。実証結果をもとに、農業従事者が新たな農法を取り入れることで、環境負荷を減らしながらも高品質な作物を生産する未来が広がることでしょう。