双日が豪州最大級のインフラ開発企業を買収
双日株式会社が、オーストラリアに本社を持つLendlease Corporationの関連企業であるCapella Capital Partnershipの株式を取得する契約を締結しました。この出資総額は約470億円に達し、2025年6月を目処に取得を完了させる予定です。
オーストラリアのインフラ市場
オーストラリアは近年、官民連携によるインフラ整備が急速に進められている国の一つです。特に、エネルギーやヘルスケア領域などの社会インフラ市場では、過去10年間で毎年1兆円規模のプロジェクトが実施されてきました。この背景には、急激な人口増加と経済成長が影響しています。さらに、今後も計画されている官民連携型のエネルギー・社会インフラ関連プロジェクトは、総額約54兆円に上るとされています。
中でも、最も人口が多いニューサウスウェールズ州においては、再生可能エネルギーの普及を推進するため、地区を「再生可能エネルギーゾーン」に指定し、そのための送電インフラの開発へ向けた投資が進行しています。これにより、新しいビジネスチャンスやプロジェクトへの参加が期待されています。
Capellaの過去の実績
Capellaは、Lendleaseのグループとして多くのプロジェクトに関与してきました。これまでに、病院や道路、地下鉄などに係る大型の社会インフラ開発を主導し、設計から施行、資産管理まで手がけてきました。2009年の設立以来、受注したプロジェクトの総額は3.4兆円を超え、現在も10件以上の社会インフラ開発プロジェクトをオーストラリア国内で実施しています。
この買収により、双日は将来的なエネルギー・社会インフラ領域の大規模なプロジェクト開発能力を一層強化することが期待されます。さらに、案件の組成から資産管理の一貫したビジネスモデルへの転換を図ります。
具体的な開発プロジェクト
Capellaの主な開発プロジェクトには、以下のようなものがあります:
- - Metro Tunnel Project:トンネル(全長9km)及び地下鉄5駅の設計・管理
- - North East Link:全長37kmの環状道路の設計・施工・運営
- - Frankston Hospital:病床数の増床を含む総合病院の新棟建設
- - New Melton Hospital:新たに274床の病床を持つ病院の建設
今後の展望
双日は、これまでにもオーストラリアにおいて様々なプロジェクトに取り組んできました。特に、New Footscray総合病院PPP事業や、エデンヴェール太陽光発電所の開発がその例です。また、新たに連結子会社化したEllis Airを通じて、病院やデータセンターなど民間セクターへの空調設備の設計・施工を通じた省エネルギー事業も手掛けています。
今後、双日はCapellaと協力して専門人材の育成を進め、エネルギー・社会インフラ領域での強化を図ります。これにより、インフラ開発の旺盛なオーストラリア市場におけるリードデベロッパーとしての確固たる地位を築き、さらに中東や中央アジア、欧米への展開も視野に入れた事業の推進を目指します。
このように、双日の成長ストーリーは新たな段階を迎え、今後も注目が集まります。