2024年上半期の自然災害報告
2024年8月27日、世界最大の再保険会社であるミュンヘン再保険が「2024年上半期の自然災害に関するレポート」を公表しました。報告によると、壊滅的な洪水や深刻な暴風雨、さらには二つの地震が発生し、経済損失はおよそ1,200億ドルに達しました。この金額は、10年の平均損失を大幅に超えるもので、自然災害による保険損害額も620億ドルとされ、こちらも大幅に推移しています。
自然災害による影響
2024年上半期の自然災害で最も経済的影響があったのは、元旦に発生したマグニチュード7.5の地震でした。この地震は日本の能登半島付近で発生し、多くの建物が倒壊し、停電や断水状態に見舞われました。また、死者数は200人以上に達しました。推定される経済損失は100億ドル、保険損害は約20億ドルと報告されています。このケースは、日本が災害対策に注力しているにもかかわらず、鍛えられたシステムにより被害を大きく軽減できなかったことを示しています。
一方、米国では激しい雷雨が影響を及ぼし、上半期の損害額は450億ドルに達しています。過去の平均に比べて、倍以上の数の竜巻が発生したことが検証されています。これらの自然災害は、主に激しい雷雨と洪水や森林火災として記録されています。経済損失のうち68%、保険損害は76%がこれらの現象に起因しています。
また、気候変動の影響も軽視できません。科学者たちは、昨年の温暖化が特にひどい影響を及ぼしているとしています。1月から6月の平均気温は、産業革命前より約1.5℃上昇しており、異常気象の頻発とそれに伴うリスクが顕著になっています。
地域別の災害状況
北米と南米では、例年通り雷雨による竜巻と雹が甚大な損害を引き起こしました。経済損失は600億ドルにも上り、多くが保険金として支払われました。また、南米ではブラジルが4月から5月にかけて深刻な洪水に見舞われました。この洪水は、過去80年間で最も悪化した災害となり、経済損失額は70億ドルと推定されています。
欧州、特にドイツでは、5月に激しい嵐が発生し、多くの地域で洪水が発生しました。この現象は気候変動によって更に悪化していると言われています。
アジア太平洋では、日本での地震のほか、台湾やドバイでも同様の現象が確認されています。最近のドバイでは、過去75年間で最大の豪雨が降り、これにより多くの運航が遅延またはキャンセルになるなどの影響が出ています。気象に関するデータ分析に基づくと、今後の自然災害の頻度と強度が高まり続けると予測されています。
今後の展望
ミュンヘン再保険の取締役会メンバーであるトーマス・ブルンク氏は、気候変動により自然災害の頻度が高まり、それに適応する必要があると強調しています。リスクの変化に対抗するため、保険業界を含む全ての分野で対策が求められています。
2024年上半期の報告は、自然災害の影響がますます深刻になっていることを示しており、私たち一人一人がこの問題に対し意識を高める必要があることを示唆しています。