国民の運動不足の実態が明らかに!大規模調査で健康寿命延伸に向けた取り組みが加速
明治安田厚生事業団と笹川スポーツ財団は、2023年度に共同で実施した「活動量計による身体活動・スポーツの実態把握調査」の結果を公表しました。この調査は、国民の身体活動量に関する全国規模かつ客観的なデータの不足を解消するため、2023年10月~11月に首都圏・中京圏・近畿圏の13都府県在住の成人650人を対象に行われました。
調査では、活動量計を用いて身体活動量を実測するとともに、アンケートでスポーツ実施状況などを調べました。その結果、興味深いデータが明らかになりました。
運動・スポーツ実施者と非実施者の身体活動量の差
調査結果によると、厚生労働省が推奨する身体活動量を達成している人は全体の49.5%でした。特に高齢者では達成率が高く、成人(20~64歳)の達成率は45.6%に対し、高齢者(65~79歳)の達成率は61.7%と高い傾向が見られました。
また、運動・スポーツの実施者と非実施者で比較したところ、推奨身体活動量の達成率に大きな差が見られました。運動・スポーツの実施者の達成率は69.1%と、非実施者の41.8%と比較して、約27%も高い結果となりました。このことから、運動・スポーツの実施が推奨身体活動量の達成に大きく貢献することが示唆されました。
健康寿命延伸に向けた課題
調査結果からは、運動・スポーツの実施が健康寿命延伸に大きく貢献することが示唆される一方で、課題も見えてきました。
まず、推奨身体活動量の達成率が全体の5割を下回っている点は大きな課題です。健康づくりのためには、国民全体の身体活動量を向上させるための取り組みが求められます。
また、調査では、余暇時間の多寡と推奨身体活動量の達成との関連はみられませんでした。これは、仕事や移動などの時間における身体活動の多い人や、余暇時間の中で運動・スポーツを実施している人が推奨身体活動量を達成している可能性を示唆しています。
今後の取り組み
明治安田厚生事業団と笹川スポーツ財団は、今回の調査結果を踏まえ、今後、全国規模で成人の身体活動量を把握し、スポーツ実施や健康指標との関係性を検証することで、「スポーツによる健康寿命の延伸」を目指すための知見や政策形成に資する情報を発信していく予定です。
具体的には、対象者を全国200地点、5,400人に拡大し、性別や年代、居住区域、運動・スポーツの実施種目や実施場所など詳細な状況と身体活動量との関連について分析していく予定です。
今回の調査結果は、国民の健康寿命延伸に向けた取り組みを進める上で重要な指針となることが期待されます。