ジャイロトロンが世界初の5周波数出力を実現し核融合研究を加速

世界初！5つの周波数を出力するジャイロトロン

京都フュージョニアリング株式会社（KF）と量子科学技術研究開発機構（QST）は、核融合エネルギーの実現へ向けて、新たな革新を成し遂げました。彼らの共同研究により、236GHzの高出力マイクロ波を発生させ、1本のジャイロトロンで5つの異なる周波数を発振することが可能となりました。この歴史的な成果は、フュージョンエネルギーによる電力供給の実現に向けた大きな一歩です。

ジャイロトロンの革新

今回開発されたジャイロトロンは、QSTが以前に開発した104GHz、137GHz、170GHz、203GHzの技術を基に、KFがデザインした9.5テスラの超伝導コイルを導入したものです。この新たなシステムによって、従来の技術を超え、236GHzの電磁波を発振することに成功しました。

このジャイロトロンは、プラズマ状態を生成するために不可欠な加熱システムであり、特に核融合反応に必要となる条件において重要な役割を果たします。さらなる高周波電磁波の出力が、核融合炉のプラズマ加熱に不可欠であり、結果的にこの成果は次世代の核融合炉設計に新たな可能性をもたらします。

フュージョンエネルギーの未来

特に236GHzは、将来的に商業用の核融合発電炉や、現在議論されている原型炉にも適用可能な周波数です。この技術の実用化は、地球環境の問題やエネルギー問題に対する解決策に寄与する可能性があり、非常に注目されています。

KFの取締役CTO、坂本慶司氏は「これまでの研究者、製品メーカー、そしてKFの技術メンバーの努力が実を結び、フュージョンエネルギーの実用化へ向けた重要なマイルストーンを達成したことを嬉しく思います」とコメントしています。これにより、日本が誇るジャイロトロン技術の進化が期待されています。

参加した企業と今後の展望

この開発においては、ジャイロトロン製作をキヤノン電子管デバイス株式会社が担当し、超伝導コイルはジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社（JASTEC）が製作しました。今回の成果は、日本の技術がフュージョンエネルギーの実現に寄与することを改めて証明した結果となりました。

今後は、この技術の出力最適化や発振効率の向上に向けて研究が進められ、長パルス運転の実現へとつなげていく予定です。フュージョンエネルギーが未来のエネルギー基盤として実現する日も近いかもしれません。