働き方改革の成果と建設業界の現状
はじめに
2024年が近づく中、働き方改革の具体的な成果が注目されています。特に建設業界においては、労働環境の改善が進む一方で、依然として深刻な人手不足が続いています。これは一体、どのような状況なのでしょうか。今回は、BuildApp総合研究所が実施した調査結果をもとに、建設現場の実態について掘り下げていきます。
調査の概要
BuildApp総合研究所は、2025年の11月に全国の20代から70代までの建設業従事者1,000人を対象に、働き方改革に関する調査を行いました。調査方法はインターネットを使用し、主に労働環境の改善状況や人手不足の実感、外国人労働者の受け入れについての意見を集めることに焦点を当てました。
労働環境改善の実感
調査結果によると、残業時間上限規制の施行後、全体の55.3%の回答者が労働環境の改善を実感しているとのことです。特に、大手ゼネコンにおいては66.0%、準大手・中堅ゼネコンでも60.2%と、改善を実感する割合が高くなっています。しかし、全体で67.3%の人が「人手不足」を感じていることも見逃せません。特に大手企業では76.7%がその問題を実感しています。
矛盾する労働環境と人手不足
興味深いのは、「労働環境が改善された」と感じる人の中でも、同時に「人手不足を感じる」と答えた人が全体平均で53.6%に達していることです。この現象は、労働環境が整備されつつも、依然として人材不足が顕著であることを示しています。建設業界では現場の職人不足が深刻であり、その影響が仕事の質や進行スピードに影響を及ぼしています。
外国人労働者の受け入れについて
調査では、外国人従業員の受け入れについての意見も尋ねられました。全体では男性と女性を合わせて48.9%が受け入れに対して肯定的だと答えましたが、外国人労働者が在籍している企業では60.4%が受け入れを支持しているのに対し、在籍していない企業では逆に肯定的な意見が30.4%と低下しています。このことから、企業の状況が外国人労働者の受け入れに大きく影響していることがわかります。
建設業界の賃金水準
調査によると、建設業の賃金水準について、47.0%の人が「低いと感じる」と回答しています。これは他産業と比較した際の感覚で、「高いと感じる」という意見は17.7%に留まります。この結果は、労働環境の改善が進む中でも、賃金面での不満が根強いことを示しています。
特に人手不足を感じつつ環境改善を実感している大手企業では、相対的に賃金水準が高くなる傾向が見受けられます。若手や女性を含む新たな人材を呼び込むためには、賃金や待遇の改善が不可欠とされています。
まとめ
働き方改革による労働環境の改善は進んでいるものの、人手不足や賃金の低さが依然として建設業界の重大な問題であることが浮き彫りになりました。外国人労働者の受け入れは一定の効果を持つが、それだけでは人手不足の根本的な解決には至らないと考えられます。今後は、DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスの活用によって、より効率的な人材配置と生産性の向上を目指す必要があります。
BuildAppなどの新たな技術を取り入れることは、労働環境のさらなる改善と人手不足の解消に向けた鍵となるでしょう。今後も引き続き、調査結果を通じて建設業界の動向を追っていきたいと思います。