賃金デジタル払いの現状
2024-10-16 12:26:24

賃金デジタル払い普及の現状と企業の懸念点とは

賃金デジタル払い普及の現状と企業の懸念点とは



はじめに


2023年4月、政府は給与の一部をデジタルマネーで受け取ることを解禁しました。この動きがキャッシュレス社会をさらに推進するものとして注目されていますが、実際には企業側からの興味は薄いことが分かりました。帝国データバンクが行った調査によると、回答した企業の約9割が「賃金のデジタル払いを導入する予定はない」と答えています。この状況を探ります。

デジタル払い導入の現状


調査結果から、企業が賃金のデジタル払いに関して前向きになれない理由が明らかになりました。「導入に前向き」と答えた企業の割合はわずか3.9%で、88.8%が「導入予定なし」と回答。多くの企業が現行の支払い方法に満足していることが伺えます。この背景には、業務負担の増加やセキュリティリスクへの懸念が主要因として挙げられました。

実際のコメントを見てみると、飲食店からは「必要性を感じない」といった厳しい声があり、専門サービス業は「社会への浸透具合や社員からの要望を見極める必要がある」と言われました。現時点では、賃金のデジタル払いが実用的でないと考える企業が多数を占めているようです。

企業が前向きに考える理由


デジタル払いに前向きな企業の意見としては、「振込手数料の削減」が53.8%で最も多く、次いで「従業員の満足度向上」が42.3%、「事務手続きの削減」も32.7%を記録しました。特に中小企業の経営者からは、「手間を減らせるなら検討する」との声が上がっています。

しかしながら、制度やサービスに関する情報不足が現状を阻害しています。多くの企業が「導入方法や必要な手続きについて知りたい」と期待を抱いていますが、具体的な情報が不足しているため、導入検討すら進んでいません。

導入予定なしの理由


一方で、賃金デジタル払いを導入しない理由も多岐にわたります。業務負担が増えることに対して61.8%が懸念を示し、続いて制度への理解不足が45.0%、セキュリティリスクの懸念が43.3%と続きます。特に、小規模企業では従来の手法に慣れており、変更に対して消極的な姿勢が顕著です。

さらに、現金化の難しさも挙げられます。デジタル払いを受け取った給与は現金化可能ですが、その手続きが不透明であると指摘されています。多くの企業が「現金化できない場合の不便さ」や「トラブルが起きた際の対応策」が不明確なため、現行の銀行振込を選んでいます。

未来への展望


調査の結果、賃金デジタル払いの導入課題は浮き彫りとなりました。業務負担やセキュリティ問題のほか、店舗での利便性や従業員からの要望が欠けていることが顕著です。今後の普及には、制度やサービスの周知が急務であり、キャッシュレス化の促進には政府や関係者からのさらなる支援が必要とされています。

結論


賃金デジタル払いは徐々に進んでいるものの、導入には多くの課題が存在します。現状では、企業がこの新しい支払い方法に対して慎重であることが明らかであり、利便性やメリットを享受できる環境を整えることが成功への鍵となるでしょう。


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