全自動コンクリート打設
2023-03-07 11:00:01
鹿島が導入した全自動トンネルコンクリート打設システムの全貌
鹿島が導入した全自動コンクリート打設システムの全貌
近年、土木工事の現場では効率化や安全性の向上を目的とした新しい技術の導入が進められています。その中でも、鹿島建設が2020年に開発した「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム」が注目を集めています。このシステムは、トンネル工事特有の厳しい環境において、作業の人力依存を大幅に軽減し、生産性と安全性を向上させることを目指しています。
システムの特徴と技術的背景
この全自動システムは、特殊な高流動コンクリートを使用し、打設の際に締固め作業を必要としません。具体的には、コンクリートポンプ車の圧送信号と配管の切り替えを連携させ、アジテータ車の入替え時以外では人間の手を一切介入させず、自動的にコンクリートの打上がり高さを調整します。これにより、均等にトンネル覆工の全断面にコンクリートを吹き上げることが可能になります。
特殊な条件への対応
大津大石トンネルでの工事では、通常の2車線トンネルに比べてコンクリートの打設量が約2倍、すなわち約200m³/日にも及ぶため、従来の人力による配管切替工法では作業効率が大幅に低下する可能性がありました。さらに、地域の生活環境への配慮から工事時間の制限もあり、品質確保と早期施工を両立させる必要がありました。このような背景から、鹿島は既存のシステムに改良を加え、工事への導入を実現しました。
新たな機能の追加
本工事用に改良されたのは、まず「コンクリートポンプ2台を連携させた打設制御装置」です。この装置は、左右のポンプを連携させ、センサによって打上がり高さを検知し自動で吐出量を調整する機能を持っています。これにより、打設速度を確保しながら、コンクリートの高低差を最小限に抑えます。
次に、「型枠バイブレータの完全自動制御装置」が新たに搭載されました。これにより、作業員が手動で操作する必要なく、自動で締固めを行うことが可能に。これらの改革により、生産性の向上が期待されています。
成果の確認
実際に現在のシステムを用いて打設した結果、従来の人力に依存した工法と比較して、平均打設速度が約15%向上したことが確認されています。このシステムを導入することで、マンアワーも約50%減少し、効率的な作業が実現されました。また、コンクリートの透気係数も改善され、品質面でも優れた成果を上げています。
今後の展開と期待
鹿島建設は今後、この全自動打設システムを他のトンネル工事や様々な工程に展開し、さらなる合理化施工を推進していく意向です。また、型枠設置から打設、養生までの全工程を自動化するための研究開発も進める計画です。この取り組みが、今の建設業界において重要な革新となることが期待されています。
工事の概要
工事名称:新名神高速道路大津大石トンネル工事
工事場所:滋賀県大津市大石東町〜大石龍門町
発注者:西日本高速道路株式会社関西支社
施工者:鹿島建設株式会社
工事諸元:トンネル延長上り線695m、下り線917m、設計掘削断面積127.3m²、内空断面積103.8m²
工期:2019年5月〜2025年2月
この新しい技術が、多くの工事現場で普及し、より効率的かつ安全な施工につながることを願っています。
会社情報
- 会社名
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鹿島建設株式会社
- 住所
- 東京都港区元赤坂1-3-1
- 電話番号
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