新NISA制度開始後、顧客満足度は?金融機関変更はわずか1割!
2024年1月に制度改正されたNISA(少額投資非課税制度)は、個人投資家の資産運用への関心を高めています。顧客満足度調査の専門機関であるJ.D. パワーが実施した「2024年NISA顧客満足度調査℠」によると、新NISA制度への移行に伴い、旧NISA口座から新NISA口座へ金融機関を変更した人はわずか1割程度で、9割以上が同じ金融機関での利用を継続していることがわかりました。
顧客満足度ランキング
今回の調査では、サービスレベルの違いをより細分化するため、「全国系銀行部門」、「対面証券部門」、「ネット証券部門」の3部門に分けて発表されました。
全国系銀行部門
1位: 三井住友銀行
2位: みずほ銀行
3位: ゆうちょ銀行
対面証券部門
1位: みずほ証券
2位: SMBC日興証券
3位: 野村證券
ネット証券部門
1位: 楽天証券、SBI証券(同点)
2位: 松井証券
顧客はなぜ金融機関を変更しないのか?
顧客が金融機関を変更しない理由としては、移行時期の制限や新旧両方の金融機関での手続きなどの負担が大きいことが挙げられます。また、心理面でのスイッチングコストも高く、顧客にとって手間がかかるため、変更をためらう人が多いと考えられます。
若年層への戦略が重要!
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一氏は、「今回の調査で、新NISA制度移行後も同じ金融機関での利用を続けたいという意向が9割超と非常に高い割合となったことは、金融機関のNISAに取り組む戦略を考える上で非常に重要である。」とコメントしています。
特に、運用期間の長さを考えれば若年層の取り込みが重要であり、クレジットカードのファーストカードのように、NISAのファーストアカウントにおいても若年層のニーズを踏まえた戦略の構築が求められます。
若年層はどんな理由でNISA口座を開設しているのか?
調査によると、若年層は「NISAに関するキャンペーン・優遇制度が充実している」、「NISAに関する情報が充実している」、「NISAに関する広告・宣伝がよい」、「NISAに関するインターネットでの評判がよい」などの理由でNISA口座を開設している傾向が見られます。
今後の金融機関の戦略は?
金融機関は、顧客が容易にNISA口座を開設できるような取り組みを行うことが重要です。特に若年層の取り込みを強化するためには、容易な口座開設スキームの構築に加え、NISAに関するキャンペーンなどの情報発信、Webを始めとしたマーケティング施策の高度化が有効であると言えるでしょう。