飛騨高山の伝統工芸「宮笠」とは
岐阜県高山市の一之宮地域で、日本の伝統工芸品の一つである「宮笠」が今、製作の最盛期を迎えています。この工芸品は、耕作の合間に手作業で生み出されるもので、農閑期の副業として江戸時代からその製法が受け継がれています。その歴史はなんと300年を超え、今でも地元の素材を活かした作品が作られています。
宮笠の製作工程
宮笠は、特に地元の霊山である「位山」から得られるヒノキやイチイの木の皮を使用しています。皮を薄く削ぎ取り、幅約6ミリの短冊状にこしらえる作業は見事な手作業。これを「ヒデ」と呼び、そのヒデを手際よく編み上げていくことで、独創的なデザインが生まれます。
飾りとしてセミの形を模したものや、イチイの赤とヒノキの白を組み合わせた美しい宮笠が特長です。色合いや編み方を変え、様々なバリエーションが楽しめるのも、この工芸品の魅力の一つと言えるでしょう。
実用性とデザイン性
宮笠はただの装飾品ではなく、実用性も兼ね備えています。暑い日にはヒデが収縮し、通気性を高め、日差しを遮る効果があります。一方、雨や雪の日にはヒデが膨張し、隙間を埋めることで水を防ぎます。そのため、農作業や雪かきの際には非常に重宝されています。しかし最近では、インテリアとしてもの人気が高まっています。
問坂親子の情熱
宮笠の製作を手がけているのは、一之宮町にある問坂工房の義一さんと息子の和彦さん。彼らは祖父や父から受け継いだ伝統的な製法を大切にしながら、熱心に製作を続けています。今年、宮笠の価格は3,500円から7,000円で、1月24日には高山市中心市街地の商店街で開催される「二十四日市」で販売が予定されています。
一之宮地域の魅力
高山市の一之宮地域は、自然が豊かで見所がたくさんあります。美しい田園風景、臥龍桜や巨木群が点在し、観光客にも大人気です。また、歴史ある飛騨一宮水無神社や、位山道などの観光名所も含まれています。
このように、飛騨高山の宮笠はただの工芸品ではなく、地域の風景や文化と深く結びついた存在です。その魅力を広める活動は、今後も地域資源を活かして続けられていくことでしょう。